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 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、国内メーカーがロシア事業を相次ぎ停止している。トヨタ自動車やドイツMercedes-Benz Group(メルセデス・ベンツ)、米Ford Motor(フォード)、ドイツDaimler Truck(ダイムラートラック)などがロシアでの生産停止を発表した。部品や完成車のロシアへの輸出を停止する動きも広がっている。

工場を停止し駐在員は帰国へ

 トヨタはロシア・サンクトペテルブルク工場の稼働と、完成車のロシアへの輸出を2022年3月4日から一時停止した(図1)。「船舶に影響が出ており、部品や完成車を運べなくなっている」(同社)ためだ。国際的な資金決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からのロシア排除や、ロシアでのビジネスに対する風当たりなどを考慮したものではないという。販売とサービスは、完成車や部品の在庫がなくなった時点で停止する。

図1 ロシア・サンクトペテルブルクにあるトヨタの工場
図1 ロシア・サンクトペテルブルクにあるトヨタの工場
22年3月4日から生産を一時停止する。写真は2013年のもの。(出所:トヨタ)
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 同社は駐在員とその家族を日本へ順次一時帰国させることも決定。日本政府のアドバイス、および総合的な状況から判断した。同社のロシア駐在員は26人。家族を含めると合計で48人がロシアにとどまっている。「業務にめどが付いた者から順次一時帰国する」(同社広報部)。

 ホンダは、「CR-V」や2輪車のロシアへの輸出を停止する。理由は「物流や金融の混乱」(同社)とする。ロシアでの販売に関しては、現地の代理店と緊密に連絡を取っているが、「まだ状況をつかめていない」(同社)という。

 マツダは、日本からロシアへの部品の輸出を止める。これまでに輸送用コンテナを予約できていた部品についてはロシアに輸出しているが、「現時点で新たに部品を輸出する予定はない」(同社)とする。日本からロシアへの完成車の輸出は、これまで行っておらず、今後も予定していない。

 ロシア・ウラジオストクにある現地自動車メーカーとの合弁会社「マツダ・ソラーズ(MSMR)」の工場では22年3月2日時点で「CX-5」「CX-9」「マツダ6」を生産している。同年3月3日以降の対応については、「部品の在庫状況などのリスクを踏まえて、工場の稼働を止めるかどうかを判断する」(同社)という。

 当初「状況を注視している」(同社)とコメントしていた日産も、ロシアへの車両の輸出を停止するとともに、サンクトペテルブルク工場の稼働も近日中に停止すると発表した(図2)。

図2 ロシア・サンクトペテルブルクにある日産の工場
図2 ロシア・サンクトペテルブルクにある日産の工場
写真は2016年のもの。(出所:日産自動車)
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 日野自動車も、日本からロシアへの完成車の出荷を停止する。商用車では仕様が細かいため受注生産に近く、「新たな注文を受けることは難しくなっている」(同社)と話す。ロシアでの販売も、日本からの出荷が停止したことで、現在あるものの引き渡しのみが行われる状況になる。三菱自動車やいすゞ自動車もロシアでの工場稼働を一時停止している。