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2022年4月1日、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法)」がスタートした。一般には「使い捨てスプーンの有料化」といった表現で広まりつつあるが、実際には、製品の設計から廃棄までに関わるあらゆる主体にプラスチック資源循環などの取り組みを促す法律だ。製造業もこの法律と無縁ではいられない。今、プラスチックを取り巻く世界の環境が激変している。バイオプラスチックの専門家である小松技術士事務所所長の小松道男氏に、同法が製造業に与える影響とバイオプラスチックの最新動向を聞いた。

小松道男氏
小松道男氏
小松技術士事務所所長・ものづくり名人。(写真:栗原克己)
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プラスチック資源循環法が施行されました。専門家の視点から、この法律をどのように見ていますか。

小松氏:テレビなどの報道を通じて、世間では2020年7月1日に関係省令が施行された「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止等)」の第2弾として捉える人が多いようです。レジ袋有料化の施策に対しては、「レジ袋なんてプラスチック全体の使用量からすると少な過ぎて大した効果がない」「経済的な負担が増えた」といった否定的な意見が多く上がりました。あながち間違った指摘ではありません。

 しかし、身の回りにたくさん使われている化石資源由来プラスチックが、その便利さの半面、海洋プラスチックゴミや二酸化炭素(CO2)の排出量の増加といった環境悪化の原因になり得ることを、この施策は一般の人に広く知らしめました。加えて、いきなり完璧を目指すのではなく、まずはできることから始めるという取り組み方として捉えると、レジ袋有料化の施策には一定の評価を与えてもよいのではないでしょうか。