全2842文字
PR

 グーテンベルク(東京・大田)が2022年6月ごろに発売を予定している材料押出(MEX:Material EXtrusion)方式*1の3Dプリンター(アディティブ製造装置)「G-ZERO」(図1*2。売りは、税別で100万円を切る価格ながら、「同等の造形エリアと価格帯の3Dプリンターに比べて、造形精度の設定が同じなら3~4倍の速さで造形できる」〔グーテンベルク取締役製造担当/極東精機製作所(東京・大田)代表取締役の鈴木亮介氏〕という「高速造形」だ(挑戦者〔「できない」を疑う、限界への挑戦が醍醐味〕参照)。

*1 材料押出方式
ノズルから材料を吐出し、積層して立体モデルを完成させる3Dプリンターの造形方式。FFF(Fused Filament Fabrication)方式、FDM(Fused Deposition Modeling)方式ともいう。
図1 3Dプリンター「G-ZERO」のイメージ
図1 3Dプリンター「G-ZERO」のイメージ
本体サイズは430×400×460mm、造形エリアサイズは250×210×200mm、プリントヘッドの最大駆動速度と最大加速度は500mm/sと2万mm/s2、ノズル直径は0.4mmでレイヤー厚みは50〜250μm。価格は98万円(税別、初年度保守サポート込み)。PLA、ABS、PC、ASA、PA、TPUなどの樹脂に対応する。(出所:グーテンベルク)
[画像のクリックで拡大表示]
*2 当初は4月に発売予定だったが、部材不足の影響などでずれ込んでいる。

 3Dプリンターは一般的な射出成形や切削加工などに比べて複雑な形状を成形でき、金型が不要なので工程数を減らせるメリットがある。そのため、試作や多品種少量生産の部品の製造に用いられる機会が増えてきた。ただし、溶融した樹脂や金属を段階的に冷却して成形するので、1品の製造時間が相対的に長くなる課題があった。既存の3Dプリンターより「3~4倍の速さで造形」できれば、タクトタイムを短縮でき、ひいてはコスト削減につながるわけだ。