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 「顧客と株主をはじめとする社会の多くの皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けしていることを深くおわび申し上げる」。2022年4月28日に行われた三菱電機の2022年3月期(2021年度)決算会見は、再び漆間(うるま)啓社長が頭を下げるところから始まった(図1)。FAシステムと空調機器が好調で、売上高は前年比7%増、営業利益は同9%増と業績は悪くない。ところが、品質不正の問題から一向に脱せない。誤った状態に染まった体質の改善がいかに難しいかを社内外に示している。

図1 謝罪する漆間社長(中央)ら
図1 謝罪する漆間社長(中央)ら
2021年度は好決算だったにもかかわらず、くすぶる不正問題を受けて頭を下げるところから会見(オンライン)が始まった。(画像:オンライン会見の様子をキャプチャー)
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 漆間社長が謝罪を余儀なくされた原因は、新たな不正の発覚にある。特別高圧以上の変圧器(以下、変圧器)の一部で、設計不正および検査不正が見つかったのだ(図2)。同社はこの不正の事実を決算発表日の1週間前である同年4月21日に公表した。

図2 不正が見つかった変圧器
図2 不正が見つかった変圧器
系統変電システム製作所の赤穂工場が生産・出荷していた。不正な製品の出荷は40年にもわたった。(出所:日経クロステック、写真:三菱電機)
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