電気自動車(EV)に使う駆動用モーターの開発で、希土類(レアアース)の不使用や使用量削減に向けた取り組みが再燃している。自動車メーカーの電動化戦略や、近年の原材料価格の高騰などを受け、リチウムイオン電池だけでなく、モーター材料の供給不足への懸念が出てきたからだ*1。レアアースを全く使わないモーターを開発するのか、あるいは、多くの電動車両が採用する永久磁石型同期モーター(以下、永久磁石式モーター)でレアアースの使用量を減らしていくのか。サプライヤーによって対応が分かれる。
“レアアースフリー”選択肢に
レアアースを使わない駆動用モーターの開発に着手したのが、フランスValeo(ヴァレオ)や日本電産だ。
ヴァレオは、フランスRenault(ルノー)と共同で、永久磁石を使わない巻線界磁モーターを開発する。ヴァレオがステーター(固定子)、ルノーがローター(回転子)の開発を担当する。2027年から量産する計画だ(図1)。