「(アイシンでは)ベルトコンベヤーとセルを、無人搬送車(AGV)でつないだラインを導入するのは初めて」(図1)。こう語るのは、アイシングループ生産技術本部第2ユニット生技部第1組立計画生準室EV2グループグループ長を務める青山洋介氏だ。
同社は2022年8月8日、トヨタ自動車の電気自動車(EV)「bZ4X」向けの電動アクスル(eAxle)3種(フロント向け150kW品、同80kW品、リア向け80kW品)を生産する組み立てラインを公開した(図2)。
自動化が可能で共通化できる工程と、自動化が難しいか共通化しにくい工程を分割。前者は全自動化したベルトコンベヤー式のメインラインで対応し、後者は同ラインの周辺に配したセルを使って人手で対応する─(図3)。これがこのラインの基本コンセプトだ。
電動アクスルは、種類によって形状や組み付ける部品、リードタイムが異なる。また、ガソリン車からEVへのシフトは加速しているものの、EVの需要には依然として不透明感がある。つまり、電動アクスルの生産ラインはさまざまな種類の製品を、時期によって大きく変動する生産量に合わせて組み立てなくてはならない。アイシンはセル生産を組み合わせることで、製品の種類や生産量の変化に柔軟に対応できる生産態勢を整えた(図4)。