第4次産業革命をキーワードに製造業が大きく変化する中、世界経済フォーラム(WEF)とマッキンゼー・アンド・カンパニーは、2017年に「グローバル・ライトハウス・ネットワーク(Global Lighthouse Network)」を結成した(図1)。世界中の先進的な工場「ライトハウス」によって構成するコミュニティー(共同体)とWEFは位置付けている。2020年1月に日本国内の2工場を先進的であるとしてライトハウスに認定、日本でもよく知られるようになった。
改革に向けて苦しむ工場のモデルに
先進的な製造技術への取り組みにより大きな成果を出す企業がある一方で、革命的な動きにキャッチアップできずに後れを取り続ける企業が数多く存在する。グローバル・ライトハウス・ネットワークの目的は、その先進と後進との間のギャップを埋め、製造業の一層の飛躍を図ることにある。単に先進的な取り組みや技術の表彰というより、持続可能な発展を重視するのがWEFとライトハウスの特徴だ。
WEFは、暗中模索の海に苦しみつつ立ち向かう企業を「パイロットパーガトリー(Pilot purgatory)」(直訳は「水先人の煉獄(れんごく)」)と定義している*。そしてライトハウスは水先人が頼りにする「灯台」である。従ってグローバル・ライトハウス・ネットワークは、苦闘する企業にとって光(道標)となる先進的企業の集団という意味になる。
このネットワークでは、全世界の1000社以上の工場を調査。最終的には第4次産業革命の専門家による中立的な独立機関が最終的な選定に当たる。選定においては、「自動化による生産効率向上」だけではなく「人材育成や働き方」「企業や業界の持続可能性」「社会や環境へのインパクト」と広い観点から評価する。
現在、全世界から合計44拠点がライトハウスに認定されている。発足以来、2019年9月中には28拠点、2020年1月には16拠点と、少しずつ認定工場を増やしている状況だ。