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 ドイツ・シーメンス(Siemens)は、世界最大規模の産業展示会「ハノーバーメッセ(Hannover Messes)2020」(HM20、開催は2020年7月13~17日、会場はドイツ・ハノーバー)に先立ち、出展に関するプレス説明会を実施。デジタルツインと生産システムとを連動させた事例などについて紹介した。

* ハノーバーメッセは、当初2020年4月20〜24日の開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて7月に延期となった。

デジタルツインとAMが連動

 その1つがデジタルツインとアディティブ製造(AM:Additive Manufacturing、3Dプリンター)による自転車用ヘルメットの生産の例。「(メーカーは)少ないリソースや材料、効率的なツールを駆使し、短時間で高度に個別最適化された製品を生産したいと考えている」(同社モーション・コントロール・ビジネスユニットCEOのDr.Wolfgang Heuring氏、図1)。

図1 モーション・コントロール・ビジネスユニットCEOのDr.Wolfgang Heuring氏
図1 モーション・コントロール・ビジネスユニットCEOのDr.Wolfgang Heuring氏
ハノーバーメッセにおけるデジタルツインやドライブシステムの最新事例などについて説明した。(写真:シーメンス)
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 具体的には、まずヘルメットを販売する店舗で顧客の頭を撮影し、そのデータをメーカーに送信。メーカーではシミュレーションを使って最適化したヘルメットを設計する。続いて、生産設備を含む工場のデジタルツイン上でAM装置による造形をシミュレートした上で、ヘルメットの生産に入る。

 AM装置はシーメンスのIoT(Internet of Things)プラットフォーム「マインドスフィア」(MindSphere)とつながっているため、稼働データをデジタルツイン上に反映させたり、生産中のデータを収集したりできる。金型を起こさずに、AM装置によって設計データから直接生産できるので市場投入までの期間短縮が可能になる。さらに、収集したデータを分析すればヘルメットの生産性を向上できる(図2)。

図2 自転車用ヘルメット生産におけるデジタルツインのイメージ
図2 自転車用ヘルメット生産におけるデジタルツインのイメージ
デジタルツイン上でシミュレーションなどを駆使してヘルメットの設計や生産プロセスの個別最適化を図り、最終的にはAM装置で生産する。(出所:シーメンス)
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 この他、デジタルツインの例として、救命用ストレッチャーを搭載するヘリコプターを対象に個別最適化してから生産する例や、倉庫内物流のソリューションなどを紹介した。デジタルツイン上でシミュレートして倉庫内の荷物の動きや包装などを最適化した上で実際の倉庫の運用に反映させる。

 加えて、こうしたデジタルツインを支える重要な技術としてエッジコンピューティングを挙げた。工場などの現場からデータを吸い上げ、それをクラウドに吸い上げたり、逆にクラウドからエッジデバイスにプログラムを転送したりする。