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 市場拡大が見込める産業用ロボットで、オムロンが攻勢をかけている。その戦略製品が、新型コントローラー「NJ501-R」シリーズだ(図1)。工場でのロボット以外の機器も含めた統合制御で競合他社と差異化し、収益の柱であるFA事業の成長につなげる。

図1 オムロンの新型コントローラー「NJ501-R」シリーズ
図1 オムロンの新型コントローラー「NJ501-R」シリーズ
(出所:オムロン)
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 新型コントローラーで狙う用途は、ロボットとそれ以外の機器(モーター、センサーなど)が協調して加工や組み立てをこなす自動化システムである(図2)。これまで自動化システムでは、ロボットコントローラー(RC)とそれ以外の機器を制御するコントローラー(主にPLC:Programmable Logic Controller)に分かれており、それぞれ制御方式が異なるので全体の動作速度や精度向上の制約になっていた。

図2 新型コントローラーによる自動化システム
図2 新型コントローラーによる自動化システム
従来の自動化システムは、ロボットコントローラーとそれ以外の機器のコントローラー(図ではPLC)が分かれており、速度や精度の向上に制約があった。両者を統合した新型コントローラーでは、ロボットを含む全ての機器をまとめて制御できるので、速度や精度を高めやすい。(日経クロステックが作成)
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 新型コントローラーは、RCの機能をPLCに統合。速度や精度を高めやすくなる他、システム構築の時間や手間を減らせるという。同社インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー ロボット推進プロジェクト本部長の山西基裕氏は「従来は人にしかできなかった作業を自動化できるようになる」と胸を張る(図3*1

図3 狙っている用途例
図3 狙っている用途例
従来は人にしかできなかった作業の自動化を想定している。(オムロンの資料を基に日経クロステックが作成)
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*1 例えば、力や角度を加減しながら部品を挿入する作業などが挙げられる。自動化システムは職人的な技術者が構築している場合が多く、そのハードルを下げる意義は大きい。日本では熟練技術者が定年退職で減りつつあるからだ。各社は技術やノウハウの継承を急ぐが、一朝一夕では身に付かない。新型コントローラーによって自動化システムを構築しやすくなれば、需要拡大を加速させられる。