プラスチックの切削加工を手掛けるJpキュービック(愛知県豊川市)が2020年10月から、ちょっと変わったサービスを始めた。「加工レシピの販売」だ(図1)。
同社は、複雑な形状や細穴、鏡面加工といった難度の高いプラスチック加工を超高精度で仕上げる独自の切削技術で知られる。写真のアクリル製くもの巣はその一例(図2)。くもの巣の「糸」の径は約0.15mmで、入り組んだ曲線形状を全て切削加工で仕上げている*1。
「我々は他社が『できない』と断った加工を引き受ける駆け込み寺」と同社代表取締役社長の伊藤雅彦氏は胸を張る。例えばこれまでに「0.1mmのナイロン系特殊フィルムを削って部分的に0.05mm厚にしたい」との依頼を受けたケースがある。公差は5μm(0.05mm~0.055mm)という極めて厳しい条件だ。そもそも厚さ0.05mmのシートなので、加工以前にクランプ(ワークの固定)が困難。それでも同社はこの要望に応えたという。
今回、同社が販売を始めるレシピは、こうした「他社が『できない』と断った」加工を実施する手法だ。いわば門外不出の秘中の秘を売ってしまうという大胆な取り組みである。