年間200万円の投資で、得られる効果は150倍の3億円─。光半導体メーカーの京都セミコンダクター(京都市、以下、京セミ)が、工場のデジタル化で壮大な目標を掲げた(図1)。生産設備にセンサーを追加し、集めたデータを異常検知や生産性向上に活用する。現在は年間3週間程度の稼働停止期間(ダウンタイム)を4日に短縮できる見込みだ。
旧式設備をIoT(Internet of Things)化する、いわゆる「レトロフィットIoT」を進める*1。既に一部の工程で始めており、本格展開するめどが付いた。今後5年で年間約200万円を投じ、累計で15億円(年平均で3億円)の効果を見込む*2。「設備投資抑制で浮いた資金は、成長分野に回す」〔京セミ代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の高橋恒雄氏〕*3。
データの収集・分析基盤となるIoTプラットフォーム、およびデータを現場のセンサーからIoTプラットフォームに吸い上げるためのゲートウエー機器は、それぞれ独Siemens(シーメンス)の「MindSphere(マインドスフィア)」と「MindConnect Nano(マインドコネクト・ナノ)」を使う*4。
IoTプラットフォームやゲートウエー機器を日本で普及させたいシーメンスも、京セミに期待を寄せる。「日本の中でもベストプラクティス。中堅・中小企業でも使えることを訴求していく」(シーメンス日本法人、記事参照)。