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 神戸製鋼所は、高炉からの二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減できる技術を開発した。操業中の高炉を用いた実証実験で、生産性を落とさずにCO2排出量を従来に比べて約20%減らせると確認した。高炉自体の大幅な改修が要らず、CO2排出量の削減コストを抑えられる利点もある。「低CO2鋼材を使いたいという顧客の要望があれば、1年以内に供給できる」(同社副社長の柴田耕一朗氏)。

天然ガスで作った還元鉄を使う

 製鉄プロセスの基幹設備である高炉では、鉄鉱石(酸化鉄)を焼き固めた「焼結鉱」と、石炭を蒸し焼きにした「コークス」を使う。神戸製鋼の高炉では、鉄鉱石を細かく砕き、ペレット状にした焼結鉱を使う。これらの原料を高炉の上部から投入、高炉の下部から微粉炭(粉砕した石炭)と高温の空気(酸素)を吹き込み、焼結鉱を溶かしながらコークスで還元して「溶銑(ようせん)(溶けた銑鉄)」を得る。この製銑工程で、大量のCO2が発生する。

 このCO2削減のために神戸製鋼は、同社の100%出資会社である米Midrex Technologies(ミドレックス・テクノロジーズ)が持つ「直接還元製鉄プロセス」技術で造った「還元鉄(HBI)」を高炉に大量投入する方法を採用した。HBIは天然ガス(CH4)を改質した還元ガスで鉄鉱石を直接還元して造る。還元ガスの成分は水素(H2)が約55%、一酸化炭素(CO)が約36%で、水素の比率が高く、HBI生成時のCO2発生量が低い。これを高炉に投入してコークスと鉄鉱石の一部を置き換え、最終的に得られる溶鉄1t当たりのCO2発生量を抑えようという算段だ(図1)。

図1 開発した技術の概要
図1 開発した技術の概要
通常の高炉は、上から鉄鉱石とコークスを投入し、下から酸素と微粉炭を吹き込んで焼結鉱を溶かしながらコークスで還元して銑鉄を得る。新技術は、水素の比率の高いガスで還元鉄(HBI)を製造し、コークスと微粉炭の使用量を減らしてCO2を削減する。(出所:神戸製鋼)
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 ただし、やみくもにHBIを投入すると、炉内が不安定となる上、コストもかさむ。同社はHBIを大量に投入しつつも、コスト抑制と生産性を維持できる操業や投入の技術を開発。投入率を30%まで増やすことに成功した。