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 原発の「廃炉」と聞いて、福島第1原子力発電所(福島県大熊町・双葉町)の事故を思い出す人は多いだろう。同原発の廃炉が完了するのは、あと20~30年後とされる。いま、その工程は粛々と歩みを進めている。

 ただし、炉心溶融と水素爆発が起きた福島第1原発の廃炉作業はむしろ特殊な事例だ。原発の運転期間は、法令によって40年が上限と決まっている。2021年2月時点で、全国の電力会社が抱える原子炉は合計60基。このうち、24基の廃炉が決まっている。廃炉そのものは全ての原発がいずれ迎える共通課題なのだ。では、そもそも、「通常の廃炉」とはどのようなものなのだろうか。

* 2012年に「原子炉等規制法」が改正され、原発の運転期間は原則40年とされた。ただし、例外規定として20年を上限に1度だけ期間延長を申請できる。

国内で唯一、廃炉が完了した発電用原子炉

 過去に目を向けると、国内に1基だけ「通常の廃炉」を終えた先行事例がある。日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構:JAEA)の動力試験炉「JPDR(Japan Power Demonstration Reactor)」(茨城県東海村)である(図1)。1963年に日本初の発電用原子炉として稼働した後、13年後の76年に運転を終えた。今から25年前の96年に廃止措置が終わり、更地になっている(図2)。

図1 動力試験炉「JPDR(Japan Power Demonstration Reactor)」
図1 動力試験炉「JPDR(Japan Power Demonstration Reactor)」
原子炉の方式は沸騰水型(BWR)。ドーム状に見える建物が原子炉格納容器に当たる。撮影は1986年ごろ。(出所:日本原子力研究開発機構)
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図2 JPDRの跡地
図2 JPDRの跡地
原子炉格納容器をはじめ、ほとんどの建物は取り壊されて更地になった。現在は建設残土の仮置き場になっている。撮影は2021年2月。(出所:日本原子力研究開発機構)
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