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社風、組織体制の変革に意欲

 漆間氏は「新社長として課せられた使命は変革」と強調。「失敗を許容し、挑戦できる風土をつくることが重要」(同氏)と語った。社内外の声に耳を傾けることと、透明性の高い情報開示の2点に力を注ぎ、企業風土の刷新と信頼回復に取り組むと表明した。

 これまで不正を一掃できなかった理由としては、「上にものが言えない」社風を挙げ、「まず経営幹部が今までの行動を改めるべきだ」と漆間氏は述べた。「私自身が従業員とどう接してきたか、従業員自身がものを言える土壌を作ってきたかを反省しながら、経営の透明性を上げたい」(同氏)と、自らが先頭に立って変革する姿勢を見せた。

 縦割りが問題視されている組織体制については、品質に関わる担当執行役を新たに選任し、現在各事業本部に属している品質部門を統括する方針を明らかにした。今後、企業風土の変革のために外部から人材を招く可能性についても触れた。

「360度評価」で社長候補を選出

 漆間氏は杉山前社長の辞任表明を受け、異例のプロセスで選ばれた。三菱電機取締役指名委員長の薮中三十二氏は「指名委員会がイニシアチブを取って選考した」と説明した。従来は社長が次期社長候補を推薦していた。

 具体的にはまず、上司・同僚・部下からの人物評価である「360度評価」の内容などを踏まえて、指名委員会が執行役の中から数人の候補者を選んだ。その後、社外取締役や社外のコンサルタントによる複数回のインタビューを経て新社長を決定した。漆間氏については「変革に対する熱意に加えて、部下から厚い信頼を得ている点で適任だと判断した」(薮中氏)と選考理由を語った。

 ただし、漆間氏は検査不正問題の発覚当時、社長に次ぐ実質ナンバー2だった人物だ。不正を防げなかった経営陣の一員である同氏を社長候補から外さなかった理由を「漆間氏は検査を実施した現場と直接関わりがなく、問題ないと判断した」(薮中氏)と説明した*2

*2 指名委員会で外部人材の採用について議論があったものの、信頼回復や品質管理問題に対処するためには現場に精通し、従業員が信頼できる人物である必要があると結論付けたため、外部人材は候補に残らなかったという。