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 キリンホールディングス(HD)が使用済みペットボトルの再資源化に向けて、着実に前進している。ごみなどの異物を投入できない専用の回収機を開発し、汚れが少なく、リサイクルしやすい容器の回収に成功した。加えて、従来の再生法と比べて樹脂の劣化を抑えられる「ケミカルリサイクル」の技術開発で三菱ケミカルと連携。2025年にも三菱ケミカルがケミカルリサイクルの工場を立ち上げ、キリングループは同工場で再生した樹脂の利用を始める。

27年に半分をリサイクル樹脂に

 キリングループは19年に、日本国内におけるリサイクル樹脂の割合を27年までに50%に高める目標を掲げた。「生茶」や「午後の紅茶」などペットボトルを使った製品が多いため、特に飲料用ペットボトルの循環利用に力を入れる(図1)。

図1 キリングループが販売する「生茶」
図1 キリングループが販売する「生茶」
(出所:日経ものづくり)
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 循環利用の第一歩は使用済みのペットボトルの回収だ。全国清涼飲料連合会によると、自動販売機の横などに設置してあるリサイクルボックスの中身の約3割は、たばこやビニールなどの異物。異物が混ざると、再生したPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂の純度が下がったり、再分別に費用がかかったりして、ペットボトルへの再生利用が難しくなる。

 そこで、キリングループはきれいなペットボトルだけを回収するために、専用の回収機を開発した(図2)。回収機のペットボトルをセットする箇所には、飲み口がちょうどはまる大きさの突起がある。そこへ逆さにしたペットボトルを差し込み、ディスプレー上にある「セット完了」のボタンを押すと、ボトルが回収機内部に取り込まれる。取り込んだペットボトルは中で潰され、かさばらない。

(a)
(a)
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(b)
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図2 キリングループが開発したペットボトルの回収機
2リットル以下の飲料用ペットボトル容器を約100本回収できる(a)。集めたボトルは同グループが自動販売機のオペレーション業務の中で回収する。(b)はペットボトルを回収機にセットしたところ。(出所:日経ものづくり)

 飲み口を下に向ける仕様にしたことで、飲み残しのあるペットボトルの混入を防げる上に、キャップも自然と取り外してもらえる。ペットボトル以外の容器は差し込みにくく、もしビンや缶を差し込んでも、重さと光を感知するセンサーが反応し、回収されない。

 キャップを取ってラベルを剥がすよう促すイラストを回収機に描き、リサイクルしやすい状態のペットボトルが集まるようにした。この回収機を横浜市内のローソンの店舗に設置して実証実験を行ったところ、21年7月中旬〜9月上旬で回収したペットボトルのうち、97%はラベルやキャップが取り外されていたという。今後は実証実験を重ね、量産する回収機の仕様などを決める計画だ。