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 超高張力鋼板(超ハイテン材)の冷間プレスのニーズが、自動車のシート部品の開発にも広がってきた。超高張力鋼板は、引っ張り強さが980MPa(0.98GPa)を超える鋼板。プレス部品メーカーである協和工業(静岡県湖西市)が、1.2GPa級鋼板および1.5GPa級鋼板を冷間プレスで成形したシート部品を開発した(図1)。1.5GPa級鋼板の冷間プレス品は、大物部品である車体骨格部品で採用が始まったばかり。この動きを中・小物部品であるシート部品も追う格好だ。

図1 超高張力鋼板の冷間プレス品
図1 超高張力鋼板の冷間プレス品
1.2GPa級鋼板および1.5GPa級鋼板を使い、自動車用シートを構成する台座の部品を成形した。(出所:日経クロステック)
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 同社の1.2GPa級鋼板の冷間プレス品は、既に「量産対応できる段階」(同社)にある。厚さが2mmの鋼板を冷間プレスで成形し、シートを構成するアームの部品や台座の部品を試作した。加圧力が800tf(約7.8MN)のプレス機を使い、順送プレスで冷間加工した(図2)。試作とはいえ、量産と同水準の順送金型を使用している。そのため、量産への展開が早いというのが同社の特徴だ。

図2 順送金型の1/4スケールの模型
図2 順送金型の1/4スケールの模型
加圧力が800tfのプレス機に据え付け、超高張力鋼板を順送プレスで冷間プレスしてシート部品を造る。(出所:日経クロステック)
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