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 丸紅情報システムズ(東京・新宿)は米Desktop Metal(デスクトップメタル)の金属アディティブ製造(AM)装置(3Dプリンター)「Shop Pro」を「次世代3Dプリンタ展」(2022年6月22~24日、東京ビッグサイト)に出展した(図1)。国内での展示は初めて。平らに敷き詰めた金属粉にバインダーを噴射して固めるバインダージェット方式で、実製品の中少量生産への利用を想定している。

図1 MSYSが「次世代3Dプリンタ展」で展示した「Shop Pro」(米Desktop Metal)
図1 MSYSが「次世代3Dプリンタ展」で展示した「Shop Pro」(米Desktop Metal)
本体内で金属粉にバインダーを噴射して固める方式。(写真:日経ものづくり)
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 Shop Proは同社の金属AM装置である「Shop」の強化版。Shopシリーズは本体内での造形時には熱を加えないのが特徴だ。その分造形時間を短くできるのに加えて、造形品として固まらなかった金属粉の再利用率が高いという特徴がある。

 Shop Proではさらに噴射するバインダーの量や造形する層の厚さなどをきめ細かく調整できる機能を加え、粒径の小さな金属粉を使って微細な部品を生産するなどの用途に使えるようにした。

材料の粒径や成分を調整可能

 もともとShopは、標準材料としてステンレス鋼「316L」(JISのSUS316L相当)、高強度ステンレス鋼「17-4PH」(JISのSUS630相当)などを利用できる。バインダーを噴射する際の解像度は1600dpi(ドット/インチ)。固まらなかった金属粉は98%程度の高率で再利用できる。金属粉に埋まった状態で成形するためサポート形状を付ける必要がなく、複数の部品が関節でつながったような形状の一括造形も可能だ(図2)。造形品が固まったら「パウダーステーション」で未硬化の金属粉を除去し、「ファーネス(焼結炉)」で焼結して金属部品にする。

* 粉は造形エリアの下から負圧で吸い付けて、バインダー噴射時に舞い上がらないように工夫している。
図2 多くの関節からなる成形品
図2 多くの関節からなる成形品
ドラゴンは多くの駒が連結した構成で、伸ばしたりとぐろを巻いたりさまざまな姿勢にできる。(写真:日経ものづくり)
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