欧州の工作機械メーカーを買収へ─。工作機械業界で世界一を目指すと公言する日本電産会長兼最高経営責任者の永守重信氏が、次のM&A(合併・買収)に選んだのは、イタリアPAMA(パーマ)だった(図)。
PAMAは設立95年を超える老舗の工作機械メーカーで、大型の横中ぐり盤やマシニングセンター(MC)などを手掛けている。中でも、横中ぐり盤において高い技術力を備えており、幅広いラインアップを持つ。
興味深いのは、PAMAを買収した理由だ。横中ぐり盤は、ドリルなどでワークに比較的大きな穴を開けた後、その内径を削って必要な内径の寸法や表面粗さに仕上げる機械。造船や建設機械、掘削用ドリルなどの大型ワークの加工に使う。従って、日本電産が成長の柱の1つとしている電動アクスル事業の成長の促進には直接関係しない決断のようだ。
日本電産は、日本電産シンポ(京都府長岡京市)を柱に、日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械)およびニデックオーケーケー(旧OKK)と工作機械事業を形成している。ところが、日本電産マシンツールもニデックオーケーケーも国内市場が中心で、海外展開が遅れている。PAMAは欧州市場を中心に中国や米国、インド市場に販売・サービス網を持つ。日本電産はPAMAを傘下に収めることで、海外市場に販路を開けるというわけだ。一方、PAMAは日本市場が弱く、今回の買収で本格的な日本市場参入の足掛かりを得られる。