ドイツAudi(アウディ)は2022年12月20日、電気自動車(EV)の生産に関する包括的な戦略「360ファクトリー」を作成したと発表した(図1)。主に既存の工場に投資することで、効率的で柔軟なEV生産体制を整える。新たにEV専用工場を立ち上げるのは、追加の生産能力が必要な地域に限るという。
同社はベーリンガーホフとベルギーのブリュッセルの工場で既にEVを生産しており、2023年にはインゴルシュタット工場から最初の「Audi Q6 e-tron」がラインオフする(図2)。ネッカーズルム、サンホセチアパ、ジェール工場でもEV生産を開始する。
2026年の時点で、世界市場に投入するモデルを全てEVとし、2033年までにエンジン車の生産を段階的に廃止する計画を打ち出している。これに向けて、2029年までに世界中の全てのアウディ生産拠点を、少なくとも1車種のEVを生産できるように改変する。また2025年までに従業員をEV生産に対応できるようトレーニングするため、5億ユーロを投じる計画だ。
各拠点でEVを生産できるようにすることは、同社の将来の目標の1つに過ぎないという。EV生産への移行に合わせて、各拠点は「経済性」「生産性」「柔軟性」「持続可能性」など生産プロセス全般の改善を目指す。一例として、アウディは2033年までに工場の年間コストを半減したいと考えている。そのため、車両開発の初期の段階から生産プロセスの合理化を意識して設計する。