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人手不足や人件費の高騰により生産現場の自動化ニーズは高まるばかり。工作機械の展示会「メカトロテック ジャパン 2019」(MECT2019、2019年10月23〜26日、ポートメッセなごや)では、そうした現場のニーズに応えるべく、主要メーカーがこぞってロボットや人工知能(AI)を活用した新機能をアピールしていた。今後、ロボットで直接作業を、AIで判断作業をそれぞれ自動化・省人化する動きが加速しそうだ。

写真:日経ものづくり
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ロボットによる自動化を簡単導入

 加工現場で自動化要求の高い作業の1つが、工作機械で加工するワークの産業用ロボットによるハンドリング。ワークの供給・排出(ローディング・アンローディング)などを自動化できれば、夜間や休日などに無人で加工でき、大きな省人化効果が期待できる。

 だが、ロボットを使った経験のない現場には、導入の大きなハードルがある。動作プログラムの作成(ティーチング)だ。工作機械のNC装置は使い慣れていても、ロボットのティーチング・ペンダントは触った経験がない作業者は多い。

NC装置から直接ロボットを制御

 MECT2019では、こうした現場の悩みに応えるべく、NC装置でロボットの動作を設定できるようにするなど、工作機械との親和性を高めた自動化システムが多数みられた。

 ロボット制御する機能を搭載したNC装置を訴求していたのが三菱電機だ。NC装置の加工プログラムGコードから直接ロボットの動きを制御する機能で、ロボットに搭載されているセンサー情報の参照やロボットハンドの制御をNC装置から実行できる(図1)。

図1 三菱電機のNC装置によるロボット制御のデモンストレーション
図1 三菱電機のNC装置によるロボット制御のデモンストレーション
(写真:日経ものづくり)
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 デモンストレーションでは、同社製の小型ロボットがワークを把持して加工機にセット。加工が終わるとワークを把持してシューターに投入するといった一連の動作を全自動でこなしていた。同社の最新NC装置「M800」「M80」「E80」シリーズに2019年4月から同機能を標準搭載しており、同社製およびドイツ・クーカ(KUKA)製の産業用ロボットに対応する。クーカは中・大型ロボットを、三菱電機は小型のスカラー型/多関節型を中心にラインアップしており、2社のロボットへの対応で、幅広い種類のワークを扱えるとしている。

 ファナックも、同社のNC装置の上位機種にGコードで同社製ロボットを制御できるようにする機能を参考出展。同社ブースでは6軸の小型ロボット「LR Mate 200iD」を使ってワークを脱着するデモンストレーションを披露していた(図2)。位置決めは、NC上で数値を入力する他に、NCに付属する小型のジョグハンドルで実際にロボットを動かしながらの指定もできる。より直感的な操作が可能だ。

(a)
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(b)
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図2 ファナックのNC装置によるロボット制御のデモンストレーション
上位機種のオプション機能として提供する。(a)はデモンストレーション中のロボット。NC装置のジョグダイヤルでロボットの位置決めなどができる(b)。(写真:日経ものづくり)

 汎用の産業用ロボットなのでさまざまな作業を想定できるが、「加工などは位置決め精度が難しい。まずはローディング/アンローディング作業をターゲットに利便性を訴求する」(同社説明員)。同社のNC装置の上位機種「Series 30i/31i/32i - MODEL B Plus」のオプション機能として2020年1月のリリースを予定しているという。