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日経クロステックと日経BP総研の分解プロジェクトチームが、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)の電気自動車(EV)「ID.3」の分解調査に挑んだ。ID.3は、同社のEV専用プラットフォーム「MEB(Modular electric drive matrix)」を採用したEVの第1弾。EV専用のプラットフォームとはどのようなものなのか。その特徴とエンジン車やHEV(ハイブリッド車)、他のEVとの違いなどを分析した。

写真:Volkswagen
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 ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)の「ID.3」は、Cセグメントに属するハッチバックタイプの小型EVだ(図1*1。VWのEV専用プラットフォーム(PF)「MEB」を採用しており、モーターとギアボックス、インバーターを一体化した電動アクスルを車両後部に搭載した後輪駆動を基本とする。MEBは、部品配置をEVに最適化して広い車内空間を確保したのが特徴。リチウムイオン2次電池を床下に配置し、より多くの容量を搭載できるようにした*2。本特集では、ボディー、電池、電動アクスルを中心に、その特徴と他のEVとの違いなどを探る。

図1 VWのEV「ID.3」
図1 VWのEV「ID.3」
購入したのは欧州で量販モデル導入前に限定販売した「ID.3 1st Max」。電池容量は58kWh。(出所:日経クロステック)
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*1 欧州市場では2019年5月にID.3の受注が開始されたが、日本への導入予定は22年以降。分解プロジェクトチームは欧州から輸入した。
*2 これまでVWが展開してきたEVは、いずれもVWグループの横置きFF(前部エンジン・前輪駆動)車用PF「MQB」を流用していたが、エンジン車とPFを共用したため、搭載スペースの都合による電池容量の小ささや車室内の居住性などに課題があった。