事故は語る
目次
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無人走行列車が逆走して車止めに衝突、真因は衝突対策の基本を逸脱した設計
2019年6月、横浜市内を走る無人自動運転の鉄道路線「金沢シーサイドライン」で列車の逆走事故が発生した。信号線の断線によって制御装置に進行方向が正しく伝わらなかったのが直接の原因だった。なぜフェールセーフが機能しなかったのか、どうすれば再発は防げるのか。鉄道事故に詳しい佐藤R&Dの佐藤国仁氏が再発…
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非純正バッテリーで発火事故、形は同じで安価だが安全対策は手抜き
充電式の電動工具や電気掃除機のバッテリーが発火する事故が増えている。中でも増加が目立つのが、非純正品のリチウムイオンバッテリーによる事故だ。メーカーの純正品に比べて安価で、ネット通販で簡単に入手できるが、安全対策が不十分なものも少なくない。
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ランフラットタイヤの中子が破損して脱線、発端は検査で見逃したタイヤの摩耗
2019年1月16日、埼玉新都市交通の伊奈線で列車脱線事故が発生した。同線はゴムタイヤで走行する新交通システムで、一部のタイヤが損壊していた。ゴムタイヤには空気が抜けてもある程度走行できる仕組みを備えていたが、その限界よりも短い距離の走行で事故に至っていた。
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熊本発の日航機でエンジントラブル、約400個の破片が地上に落下
2018年5月、熊本空港を出発した日本航空JA8980機が左エンジンのトラブルで同空港に引き返した。同エンジンの高圧タービンのブレードが破断して約400個の破片が地上に落下。建物や車両に被害が出た。
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乗客乗せたコースターが停止車両に追突、甘い管理と夏の暑さでブレーキ不調
2019年8月4日11時過ぎ、横浜市の複合レジャー施設でジェットコースター車両の追突事故が発生した。プラットホームの降車場で乗客を降ろして停止していた車両に、乗客を乗せて後からきた別車両がぶつかったのだ。走行も終盤で大きく減速していたため大惨事には至らなかったものの、追突した車両の先頭座席に乗って…
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プールに浮かぶエア遊具下で児童が溺死、ライフジャケットが原因? 急がれる安全基準
2019年8月、遊園地のプール水面に設置されたエア遊具の下で、ライフジャケットを着用していたにもかかわらず児童が溺れて死亡する事故が発生した。消費者安全調査委員会による実験で、遊具から落水すると、浮上時にその下に潜り込み、着用したライフジャケットの浮力が障害となって、遊具下から抜け出すのが困難にな…
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寸法違いの部材にボルトの締め忘れ、問われる手動車いすの品質管理
使用中にフレームが破損したので調べてほしい─。消費生活センターからの依頼をきっかけに、国民生活センターが低価格の手動車いすを調べたところ、ずさんな品質管理の実態が浮かび上がった。
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三菱電機にサイバー攻撃、防衛情報が流出
OS標準機能を巧妙に利用し検知と解析を遅らせる
三菱電機は2020年2月10日、サイバー攻撃を受けて防衛関連情報が盗まれた可能性があると明らかにした。ハッカーはウイルス対策ソフトウエアの脆弱性を突いて侵入。同月12日時点で、不正アクセスが疑われる端末(パソコンとサーバー)は世界で132台となっている。狙われているのは三菱電機だけではない。NEC…
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着陸時に主脚の車軸が折損した大韓航空機、規定値オーバーのピボットピンが招いた腐食
2018年6月、大韓航空703便が成田国際空港(成田空港)に着陸した際、同機主脚の車軸が折損。走行できなくなった。事故の原因は、車軸のピボット穴に発生した応力腐食割れ。割れがある状態のままで運行し続けた結果、着陸時の折損につながったと考えられる。
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ウーバーの自動運転車事故、ずさんな安全管理と「設計の欠陥」
米ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)の自動運転車両が2018年に起こした歩行者死亡事故について、米国家運輸安全委員会(NTSB)が2019年11月5日に調査報告書を公表した。
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故障を知らせるはずの設計が事故を誘発、一発二錠の自転車343万台をリコール
ブリヂストンサイクルが自転車に搭載していた1つの鍵で前輪と後輪を1度に施錠できる「一発二錠」に不具合が発覚した。走行中にハンドルのロック機構が突然働いてユーザーが転倒する事故が何件も発生したのだ。消費者庁によれば、原因調査中の案件も含めて、これまでに同機構を原因とする事故で20人以上が負傷した。ユ…
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H-IIB移動発射台で打ち上げ直前に火災、流れる液体酸素で帯電、断熱材が発火
2019年9月11日午前3時ごろ、打ち上げを目前に控えた「H-IIBロケット8号機」で火災が発生した。火が上がったのは、ロケットの台座である移動発射台の開口部。即座に消火活動を開始し、打ち上げは中止された。移動発射台で火災が発生したのはH-IIAを含めて50回に迫る打ち上げで初めてのことだ。ロケッ…
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扉が開いたまま走行した西鉄電車、1枚の座金が戸閉の動作と検知を不能に
西日本鉄道天神大牟田線で走行中の電車の扉が開いて閉まらなくなった。約2年前の検査の際に平座金の取り付け位置を間違えたのが直接の原因だった。扉が開いたことを運転士に知らせるセンサーも機能しなかった。加えて車両の検査体制だけでなく重大インシデント発生時の危機管理にも教訓を残した。
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新交通システム「シーサイドライン」逆走事故、フェイルセーフ設計の軽視が原因か
無人自動運転の鉄道路線「金沢シーサイドライン」で逆走事故が起きた。進行方向が正しく伝わらず、本来とは反対の方向に進行したのだ。詳細な原因は調査中だが、現時点で分かっている情報から判断する限り、安全を重視したフェイルセーフ設計ではなかったと言わざるを得ない。
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「ボーイング737MAX」連続墜落事故、自動補正システムに落とし穴
2019年3月10日、アディスアベバ発ナイロビ行きのエチオピア航空ET302便(ボーイング737MAX-8)が墜落した。2018年にも、インドネシアで同国のライオンエアが運航する同型機の墜落事故が起きている。
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ずさんな製造管理、人頼みの運行、起こるべくして起こった新幹線台車亀裂
台車枠に長さ140mmもの亀裂が入って新幹線初の重大インシデントとなった2017年12月のJR西日本(西日本旅客鉄道)の事故。日本が安心・安全を誇ってきた高速鉄道で起こった事故は世間を驚かせた。
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住宅用太陽光パネルに火災リスク、接続部の高抵抗化が発熱やアーク放電を誘発
住宅用太陽光発電システムによる火災などの事故は、この10年間で100件を超える。その原因の1つが経年劣化に起因する太陽光パネルの不具合だった。導入件数のピークは2013年のため、使用年数が10年を超える製品が今後増えてくるのは確実だ。
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航空機のパネルが走行中の車両に衝突、取付金具が疲労破壊して飛行中に脱落
2017年9月23日、関西国際空港を離陸したばかりのKLMオランダ航空の機体からパネルが脱落した。脱落したパネルは大阪市内に落下し、車両に衝突する事態に至った。事故の原因は、パネルの取付金具の性能不足だった。
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インク原料の工場で死者2人の粉じん爆発、着火源は発生確率1万分の1の静電気放電
「ドーン」。2017年12月1日8時25分ごろ、荒川化学工業の富士工場(静岡県富士市)で爆発・火災事故が発生した。爆発の大きさは10kmほど離れた富士山中腹の空振計が爆風を観測するほどの威力だった。爆発によって製造棟全体が類焼。死者2人を含む15人の犠牲を出す大事故となった。
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電動シャッターに挟まれて死亡、安全装置に対する意識の低さが背景に
家庭に設置した電動シャッターの利用者が、シャッターカーテンと床などの間に挟まれる事故が絶えない。事故被害者からの申し出を受け、消費者安全調査委員会が事故の実態に関する調査を実施したところ、安全装置を設置していないシャッターが多い実態が判明した。