2018年9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震をきっかけに、北海道全域が停電(ブラックアウト)する事故が発生した。供給の半分近くを担っていた苫東厚真発電所が地震の直撃を受けた後、一時的に電力供給を安定させることに成功したが、17分後に力尽きてしまった。
地震動によって直接影響を受けたのは苫東厚真発電所。地震発生時の北海道の電力需要308万kWのうち、116万kWを担っていた同発電所2号機・4号機が停止し、34万kWを担っていた1号機の出力が低下した(表、図1)。
すぐに送電系統の周波数が大きく低下。後述のように、供給が需要を下回ると周波数は敏感に反応して低下する。そのため周波数低下リレー(UFR、Under Frequency Relay)が動作して道内の一部を強制的に停電させる(負荷遮断)とともに、本州から電力を受ける北海道・本州間(北本)連系設備が動作を開始した*1。一度は需要と供給のバランスが取れ、約1分後には周波数が回復して安定した状態になった。
*1 北海道・本州間連系設備(北本連系設備)は直流での送電であり、北海道の送電系統に流すには交流へ直す必要がある。