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家庭に設置した電動シャッターの利用者が、シャッターカーテンと床などの間に挟まれる事故が絶えない。事故被害者からの申し出を受け、消費者安全調査委員会が事故の実態に関する調査を実施したところ、安全装置を設置していないシャッターが多い実態が判明した。

 消費者安全調査委員会(以下、調査委員会)は2018年9月28日、電動シャッターの動作時に発生した事故に関する報告書を公表した*1。この報告書によると、車庫の入り口などに設けられた電動シャッターの使用者が死亡または重傷を負った事故は、2001年6月~2017年7月までの16年間で27件発生。被害者の半数に当たる14人が死亡している。

*1 「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告 電動シャッター動作時の事故」。調査対象は、電動モーターなどで構成する開閉器の力で巻き取りシャフトを回転させ、シャッターカーテンを上昇・降下させるもの。車庫などの出入り口に設置されているものに限る。ただし、建築基準法が定める防火シャッターと防煙シャッターを除く。

 調査委員会は、その中から5件を抽出して詳細を調査(表1)。電動シャッターの使用者を対象にした運用実態のアンケート調査や電動シャッターメーカーに対する聞き取り調査なども実施し、事故の原因を調べた。

表1 電動シャッターによる主な重大事故
消費者調査委員会の調査によると、2001年6月~2017年7月までの16年間で27件発生している。表で示したのは、そのうち調査のきっかけとなった事故の主な類似事故。消費者安全調査委員会の報告書を基に日経ものづくりが作成。
表1 電動シャッターによる主な重大事故
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 その結果、不適切な操作によって利用者が重傷を負ったり死亡したりしている実態の一方で、使用者の意識の低さが明らかになった。また、事故を防ぐための安全装置の必要性も認識しておらず、実際に安全装置が設置していなかったり、設置していても故障しているケースが多いことも判明した。