充電式の電動工具や電気掃除機のバッテリーが発火する事故が増えている。中でも増加が目立つのが、非純正品のリチウムイオンバッテリーによる事故だ。メーカーの純正品に比べて安価で、ネット通販で簡単に入手できるが、安全対策が不十分なものも少なくない。
2019年2月2日、充電式電動工具のバッテリーが充電中に爆発・出火するという事故が大阪府で発生した(図1)。40cmほどの火柱が上がったという。所有者はすぐに消火器で火を消したが、左足に軽度の火傷を負い、周囲の床を一部焼損した。
出火したのは、インターネット通販で2個セットとして売られていた電動工具用のリチウムイオンバッテリー(LIB)。充電開始からおよそ20分たったところだった。購入間もないLIBで、充電もまだ2回目だったが、中国製の非純正品だった。
製品評価技術基盤機構(NITE)では、同型のLIBを調査したのに加え、ネット通販で入手可能な同じ電動工具向けの複数の非純正LIBについて試買調査を実施。その結果を2020年11月27日の「令和2年度製品安全業務報告会」で公表した。本稿ではその内容を基に、非純正LIBの事故について解説する1)。