全2706文字
PR

マンションやホテルの駐車場で二酸化炭素消火設備による事故が相次いでいる。直近では2021年4月に東京都新宿区のマンションで工事中の作業員6人が死傷した。消火設備から誤って放出された二酸化炭素が充満して事故に至った可能性がある。専門家は別の消火設備と交換していくべきだと主張している。

 2021年4月15日、東京都新宿区下落合に建つマンション「目白御留山デュープレックス」(図1)の地下駐車場で、二酸化炭素消火設備が工事中に意図せず作動した。駐車場の内部に高濃度の二酸化炭素が充満し、作業員4人が死亡、2人が負傷する事故となった。警視庁は21年4月20日、工事を請け負った株木建設(水戸市)を業務上過失致死傷の容疑で家宅捜索(図2)。関係資料を押収し、作業の安全管理が十分だったかどうか、調べを進めている。

図1 事故が発生したマンション
図1 事故が発生したマンション
目白御留山デュープレックス(東京・新宿)。撮影は事故翌日の2021年4月16日。(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
図2 株木建設の社屋
図2 株木建設の社屋
写真は同社本店(水戸市)。(出所:日経ものづくり)
[画像のクリックで拡大表示]

 同マンションは地下1階、地上4階の建物で、完成は03年2月。事故現場は機械式駐車場の内部のため、普段は人が立ち入る場所ではなかったという。事故当日は内部の老朽化した天井を張り替えるため、作業員7人が立ち入っていた。株木建設によると、工事は2日間に分けて行う予定で、事故はその初日に起きた。なお、死傷者6人は同社の社員ではなく、下請け企業の社員だったという。

 事故発生から約1時間後に東京消防庁が現場の二酸化炭素濃度を測定したところ、約21%と高い数値を示した。同庁によると、空気中の二酸化炭素の濃度は通常0.02%程度で、3~6%になると過呼吸や頭痛、めまいなどの症状が表れる。10%以上だと数分以内に意識を喪失し、そのまま放置すれば、呼吸停止を経て死に至るとされる。

 現時点で、事故の詳しい原因は特定されていない。警視庁は、工事中に何らかの理由で消火設備が作動して防火扉が閉まり、二酸化炭素が充満した空間に作業員が閉じ込められた可能性があるとみている。