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高齢化社会で重要性が高まりつつも人手不足に悩まされている介護現場。その課題解決の一翼を担うのが介護ロボットだ。ところが、普及に伴い介護ロボットの事故も顕在化してきた。国内での発生件数は、年間100件程度と推定できる。実態調査から明らかになった事故やヒヤリハットの事例を解説する。

 介護ロボットは、官民挙げての開発と先進的な介護施設への導入が急ピッチで進んでいる*1。慢性的な人手不足に悩む介護現場の負担軽減とサービスの質の向上を図るためだ。しかし、介護ロボットの利用ノウハウはまだ十分に蓄積された状況にはなく、続々と登場する新たなタイプの多様な機器を安全に使いこなすのは簡単ではない。

*1 経済産業省と厚生労働省は「情報の感知(センサー系)」「判断(知能・制御系)」「動作する(駆動系)」の3つの要素技術(ロボット技術)の応用により、「利用者(被介護者)の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ介護機器」を「介護ロボット」としている。

 そこで三菱総合研究所(三菱総研)は、介護ロボット利用の実態調査と分析を実施*2。介護ロボットを使用中の事故や、事故につながりかねない「ヒヤリハット」の事例などをまとめた「介護ロボットを安全に使うためのポイント集」を調査報告書と同時に発行した1、2)

*2 厚生労働省「老人保健健康増進等事業」の補助を受けた「介護ロボットの効果実証に関する調査研究事業(2020年度)」で、三菱総合研究所が介護事業所や介護ロボットのメーカーに対してアンケートやヒアリングでの調査などを実施した。アンケート調査期間は2020年10月30日~同年11月20日、1517の介護事業所(地域医療介護総合確保基金などの実績などから介護ロボットの導入を把握できた施設全部)と69のメーカーに発送し、それぞれ639件、23件の回答を得ている。

 実態調査で「事故(利用者の受診が必要な事象)が過去1年以内にあったか」を聞いたところ、調査に回答した639施設中の29施設(4.5%)が「あった」と回答*3、4。「受診に至らないがヒヤリハット事例があった」とした施設は89施設(13.9%)だった。

*3 ここでは、介護を受ける人を「利用者」、介護・介助を提供する人を「介護者」と記述する。
*4 事故があったと回答した29施設のうち、発生件数を回答した25施設での平均は2.88件。単純に掛け算すると72件になり、発生件数を回答しなかった施設や、調査全体の回答率を勘案すると国内全体では大まかに年間100件程度の規模と推定できる。ヒヤリハット事例は、あったと回答した89施設のうち、発生件数を回答した76施設での平均は4.86件。

 三菱総研は調査に回答した施設のうち、介護ロボット活用のための委員会を月に1回以上開催しているとした115施設の中から、6施設に対して聞き取り調査を実施。以下では、そこで判明した、事故やヒヤリハットの具体例を紹介する。