全3541文字
PR

小中学生に1人1台の端末を配布する「GIGAスクール構想」向けの端末が発煙・熱損する事故が発生した。これを受け、販売元のNECと製造したNECパーソナルコンピュータ(NECPC)は2022年2月4日、発煙した機種を含む5機種の約124万台を回収し、点検すると発表した。原因は製造工程で混入した「余分なねじ」だった。

 GIGAスクール向け端末の1つである「Chromebook Y2」が発煙したのは2021年10月21日(図1)。小学校で子供が端末を手から落とした後だった。製造したNECパーソナルコンピュータ(NECPC)が端末を回収して調査したところ、同年11月下旬、混入したねじがバッテリーを破損させていたと分かった。電源を付けたままの状態だったため、次第にバッテリーが熱を持ち、発煙・熱損に至ったとみられる。

図1 GIGAスクール向け端末「Chromebook Y2」
図1 GIGAスクール向け端末「Chromebook Y2」
ねじの混入により発煙した事案が1件確認された。(出所:NEC、NECパーソナルコンピュータ)
[画像のクリックで拡大表示]

 その後の調査で、他の端末でもねじが混入している可能性があると判明し、NECとNECPCは22年2月4日に自主点検の実施を公表。回収対象の約124万台はNECが販売したGIGAスクール向け端末の過半を占める。21年時点で日本の小中学校で使われているGIGAスクール向け端末の総数は900万台余りで、回収対象はその1割強だ。

隙間に取り残されたねじ

 混入した「余分なねじ」とは何か、具体的にみていく。このねじは先端のとがっていない長さ2mm程度の平ねじで、タッチパッドをキーボード面の筐体(きょうたい)に固定するために使っていた。組み立て時は、筐体の裏側から4カ所を留める(図2)。4カ所の内、1本は作業者が電動ドライバーで締め、3本は機械がねじの供給から位置決め、ねじを締めるまで全自動で行っている。

図2 発煙した端末を真上から見たイメージ
図2 発煙した端末を真上から見たイメージ
(出所: NEC、NECパーソナルコンピュータ)
[画像のクリックで拡大表示]

 問題となった端末では、このタッチパッドを留める4本のねじはしっかりと組み付けられていたが、もう1本の不要なねじが筐体の中に混入した。そして、タッチパッドとその上(使用時は下)に組み付けたバッテリーの間に取り残された。

 タッチパッドとバッテリーの隙間は、ねじの長さよりは狭い。バッテリーを組み付けた際に、混入したねじが立った状態だと、ねじの両端がタッチパッドとバッテリーに想定外の力を加えることになる。発煙に至った端末では、ねじの細い方がバッテリーに正対する形で挟み込まれていた(図3)。

図3 発煙した端末の手前側を真横から見たイメージ
図3 発煙した端末の手前側を真横から見たイメージ
本来タッチパッドを固定するための平ねじが1本余分に混入し、タッチパッドとバッテリーパックに挟まれる位置に、バッテリーと正対する形で混入した。(出所: NEC、NECパーソナルコンピュータ)
[画像のクリックで拡大表示]

 そのため、端末が落下した際の衝撃でねじがバッテリーに刺さってしまった。バッテリーの電極とセパレーターは層状になっている。そこを導体であるねじが突き刺したため、ショートして大電流が流れ、連鎖的に発熱し、発煙に至った。