2021年7月、高速道路のトンネル工事中にシールド機が故障して掘進を停止した。現場は首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の桂台トンネル(横浜市)。シールド機の製造時に締め過ぎたボルトが破断してギアに挟まったのが原因だった。桂台トンネルの掘進は約7カ月にわたり中断を余儀なくされた。
シールド機の故障に見舞われた桂台トンネルは、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の横浜環状南線に位置する。横浜環状南線は横浜市金沢区の釜利谷ジャンクション(JCT)と同市戸塚区の戸塚インターチェンジ(IC)を結ぶ延長8.9kmの自動車専用道路で、2025年度の開通を目指している。
シールド機の故障が判明したのは2021年7月14日。同年1月に釜利谷JCT側のたて坑を発進し、上り線トンネルの始点から390mの位置を掘進している最中だった。モーターから異音が生じたため、作業を中断したという。幸いにも、シールド機の故障や停止に伴う地上への影響は無かった。
桂台トンネルの工事を東日本高速道路(NEXCO東日本)から請け負ったのは、大成建設、フジタ(東京・渋谷)、銭高組による共同企業体(JV)である。工事費は481億円9000万円(税抜き)。上下線それぞれ約1.3kmのトンネルを1台のシールド機で掘削する計画で、上り線のトンネルを掘削した後にシールド機の向きを反転させ、下り線のトンネルを掘削する。
シールド機の製造元はJIMテクノロジー(川崎市)で、愛称は「モグるん」(図1)。大きさは外径15.28×長さ11.85m、重さは2350トン。250kWのモーター16台で、地中を掘進する「カッター」を駆動する。カッターには大型歯車「大ギア」が接続されていて、その大ギアと各モーターの「ピニオンギア」がかみ合い、回転力を伝達する(図2)。