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設計コンサルタントとして多くの日本企業を指導する國井良昌氏が、若手技術者を対象に、将来設計マネージャーとして世界で戦うために必要な心得をQ&A形式で指南する。第11回のテーマは、設計の「匠」となる道について。ポイントは「関連部門の理解」だ。設計者は自らの実力を高めるだけでなく、一緒に仕事をする関連部門の役割を把握する必要がある。

質問1

設計者として自分の実力を自己診断してみました。どうやらコスト感覚や加工知識が低いようです。今年の目標はこうした弱点の克服です。このほか材料知識も強化し、設計書の精度を高め、技術者として「匠(たくみ)」の道を進みたいと考えています。こうした実力を磨いた上で、匠となるために必要な「修行」を教えてください。

【回答】

 入社後10~20年くらいの設計者と話していると、ちょっと驚くシーンに遭遇することがあります。仕事の進め方やトラブルの解決法があまりにも「我流」な設計者が多いのです。自己満足に陥っており、自分が誰よりも優れていると思い込んでいます。ところが実際には、自分の実力を判断する基準を理解していない設計者が多いのです。

 寿司職人や大工なら、親方が長くて厳しい「修行」を弟子に経験させ、その職業の基本を指導していきます。例えば、寿司職人は「飯炊き3年、握り8年」という言葉がある通り、修行に10年以上かかるとも言われています。

 ところが、設計者の場合はその「修行」がありません。例えば、新人設計者にいきなり製図の教育を始める企業が存在します。しかし製図は本来、新人設計者にとって学ぶべき最終工程。新人設計者の心得のスタート地点にあるのは、製図ではありません。修行なしで現場に放り出された設計者は、自分の立ち位置が見えにくいわけです。

 まずはできるだけ客観的に自らの実力を把握しましょう。そのための基準(ポイント)をまとめたのが表1です。難しいとは思いますが、この基準を参照して、自己診断をしてみてください。弱点があるのは当たり前です。それを知った上で、成長すればよいのです。

表1 設計者の実力を判断するポイント
(出所:國井技術士設計事務所)
ポイント概要
Q:品質設計品質・トラブルに関わる知識と経験。設計品質をコントロールできる力
C:コストコスト(原価)、低コスト化活動に関わる知識と経験。コストを把握/概算し、コントロールできる設計力
D:期日、設計速度スケジュール管理に関わる知識と経験。設計の速さ
Pa:特許特許調査。特許出願のための特許提案書。職場の特許推進役
企画/交渉/管理部品の新規企画書・商品企画書の作成に関わる知識と経験。企画に対する提案・意見を主張できる知識と経験。企画審査への参画。自己・部下の管理力
設計書の範疇設計書に関する知識と経験。Q、C、D、Paをコントロールできる総合力
製図/検図/審査3次元CADによる構想設計と図面作成に関わる知識と経験。検図の能力。設計審査、FMEA審査に関わる知識と経験
材料知識最適な材料選択に関わる知識と経験。頻度の高い材料の特性に関わる知識と経験
加工/計測知識板金、樹脂、切削に関する加工知識と経験

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