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仕事は「分業」で成立する

 次に必要となる修行が、「設計者を取り巻く関連部門の役割」の理解です。例えば料理人を考えてみてください。新人に、いきなり料理(構想設計に相当)や盛り付け(製図に相当)をさせる飲食店はないでしょう。誰がスープを仕込み、誰が肉を焼き、誰が配膳するのか。その役割を把握しなければ仕事にならないはずです。設計者も同様です。まずは自分の仕事に関わる部門の役割などを理解すること。これが絶対に必要な「修行」です。

 世間では優秀な技術や技能を持つ職人を「工匠」や「巨匠」などと呼びます。あたかも1人で何でもできるような印象を持たせる言葉です。しかし、どんな匠であっても1人で何もかもできるわけではありません。IPS細胞でノーベル賞を受賞した京都大学教授の山中伸弥氏も、自動車レースのF1(フォーミュラ・ワン)でドライバーとして3回もワールドチャンピオンを獲得した故アイルトン・セナ氏も、全てチーム活動で成果を得ています。

 では、チームを構成する関連部門にはどのようなものがあるのか。ここでは眼鏡を例に、ものづくりを実現するチームについて少し考えて見ましょう。

 福井県鯖江(さばえ)市は、世界的に有名な眼鏡フレームの生産地です。同市では、眼鏡を「産地内分業」で造っています。

 通常、眼鏡フレームの生産工程は200以上ありますが、金属フレームと樹脂フレームの代表的な工程をイラストにしました(図1)。図1における「デザイン職」が設計者に相当します。これらの工程を、鯖江市のさまざまな企業が分担しているわけです。

図1 眼鏡の金属フレームと樹脂フレームの主な工程と職人
図1 眼鏡の金属フレームと樹脂フレームの主な工程と職人
(出所:國井技術士設計事務所)
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 もちろん、前述した眼鏡フレームの代表的な工程の例では漏れてしまう工程もあります。そういった工程を担うさまざまな部門が一般的なものづくり企業にはあるのです(図2)。

図2 設計を取り巻く主な関連部門
図2 設計を取り巻く主な関連部門
(出所:國井技術士設計事務所)
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