自動車部品の設計に携わっています。先日、トヨタ自動車はクルマの設計に「大部屋制」を採用していると本で読みました。この仕組みが設計の完成度を高めていると書いてありました。しかし、新型コロナ禍で「密」を避けることが求められる中では、大部屋制の実施は難しいと感じます。今後の新常態(ニューノーマル)の時代には、大部屋制は通用しなくなるのではないでしょうか。
編集部:異なる部門の人が1つの部屋に集まり、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行う。これにより、各部門が持つ専門的な知見が設計に生かされるため、最終的に製品の品質などが向上する。大部屋制と呼ばれるこの仕組みがトヨタ自動車の強さの一端を担っているという話は、日本の製造業で広く知られているのではないでしょうか。
肌附氏—実は、トヨタ自動車には大部屋制という言葉がありません。私自身、現役の時に大部屋制という言葉を使ったことはありませんし、社内で誰かがそう口にしたのを聞いたこともありません。恐らく、トヨタ自動車の経営を研究した外部の人が、他社とは異なる特徴的な取り組みを見つけて「大部屋制」と名付けたのだと思います。