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「トヨタ流人づくり 実践編 あなたの悩みに答えます」では、日本メーカーの管理者が抱える悩みに関して、トヨタ自動車流の解決方法を回答します。回答者は、同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏。自身の経験はもちろん、優れた管理手腕を発揮した他の管理者の事例を盛り込みながら、トヨタ流のマネジメント方法を紹介します。
悩み

想像以上に新型コロナウイルス禍の影響を受け、業績が低迷しています。売り上げは一時、半減しました。そこから底を打ち、現在は上向いているのですが、依然として新型コロナ禍前の水準からはかい離しています。私は開発設計チームを率いており、これからチーム一丸となって復活に向けてまい進したいと思っています。こうしたときにリーダーに特に期待される役割があれば教えてください。

編集部:新型コロナ禍は、残酷なまでに「優勝劣敗」の世界を産業界に突き付けています。リモートワーク需要に支えられた電子部品や半導体関連企業などが好調な業績を見せるものの、航空機や観光、外食業界には赤字に苦しむ企業がたくさんあります。業績がおおむね堅調な製造業の中でも、自動車業界はコロナ禍からの回復が比較的早い方でした。それでも赤字に苦しむ企業がある一方で、トヨタ自動車のように突出して高い業績をたたき出す企業も出ています。

肌附氏—確かに、不況時には「勝ち組」企業がさらに強くなるといわれます。財布のひもが堅くなると消費者がより保守的になり、実績のある製品や定番と呼ばれる製品を選ぶ傾向が強まります。トヨタ自動車はフルラインアップメーカーである上に、あえて個性を抑えて幅広い層に受け入れられるクルマも多く造っています。その意味では新型コロナ禍でも選ばれやすいと言えるかもしれません。