全2710文字
PR
「トヨタ流人づくり 実践編 あなたの悩みに答えます」では、日本メーカーの管理者が抱える悩みに関して、トヨタ自動車流の解決方法を回答します。回答者は、同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏。自身の経験はもちろん、優れた管理手腕を発揮した他の管理者の事例を盛り込みながら、トヨタ流のマネジメント方法を紹介します。
悩み

新型コロナウイルス禍が長引いている影響で、部品・材料の調達に混乱が生じています。これまでは在庫を極力抑えなければならないと言われてきましたが、今では「とにかく在庫は多めに持て」「世界中から部品・材料をかき集めろ」とガラリと変わりました。在庫を持っていないと、いつ工場が止まるか分かりません。一方で、財務基盤が悪化しないかという不安もあります。在庫をどのように捉えるべきでしょうか。

編集部:新型コロナ禍以降、世界中の製造業が部品・材料不足に苦しんでいます。この問題が解消していないのに、今度はウクライナ危機まで発生して、世界のサプライチェーンはさらに混迷の度合いを深めています。

 製造業では、これまで「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ調達して造る」という、トヨタ生産方式の柱の1つとして知られる「ジャスト・イン・タイム(JIT)」生産方式がもてはやされてきました。しかし、最近はできる限り在庫を多く持つべきだという意見が増えているようです。その半面、「もはやトヨタ生産方式は通用しない」「JITは忘れるべきだ」といった声まで日本企業から上がり始めています。