ハイブリッド油圧ショベルやICTブルドーザーなどの開発で先陣を切り、IoTで建機の状態を遠隔管理する「KOMTRAX」、建設現場のあらゆる情報を見える化する「スマートコンストラクション」といった先進的な仕組みを次々と実用化しているコマツ。オープンイノベーションにも積極的に取り組む。グループ共通の行動規範「コマツウェイ」では、コトづくり時代にふさわしい顧客価値の向上も加わった。日本の製造業が今後も勝ち続けるためのヒントが同社の取り組みの中にある。

コマツの強さ
目次
-
コマツのGEMBA主義
[プロローグ]顧客、代理店、パートナー、生産の全てのGEMBAをIoTでつなげる
AHS (無人ダンプトラック運行システム)GPSや無線ネットワークを活用し、超大型ダンプトラックの無人稼働を実現する。2005年から3年間の試験運行を経て、2008年1月に商用導入を開始した。2018年時点で稼働台数は100台を超える。人為的な事故の防止と人件費や燃費といったコストの削減、稼働の長…
-
強さのポイントは顧客価値創造の徹底とオープンイノベーション
part1 総論
IoT(Internet of Things)活用の先進企業として名高いコマツ。2017年度(2018年3月期)の連結売上高は2兆3280億円を見込み、その大半を占めるのが建設・土木および鉱山の現場で使われるさまざまな機械・車両と周辺サービスだ。「業界初」の製品やサービスを次々と生み出し、自動化や…
-
施工現場のボトルネックを見つけ全体最適へ、ドローンでの3D測量も活用
part2 スマートコンストラクション
建設現場に関わる全てのものの情報をICT、IoTでつないで見える化し、生産性と安全性の向上に活用するコマツの「スマートコンストラクション」。2015年に日本で提供を開始し、2018年3月時点で4400を超える現場に導入済みだ。
-
オープンイノベーション成功のカギは、すぐできるところから攻めること
[インタビュー]冨樫良一氏:コマツ CTO室 PM
コマツはもともと自前主義の強い会社でした。だからこそ、オープンイノベーションで外部連携を取り入れないと会社の未来がないという危機感がありました。その切り込み隊長として、コマツにはないピースを世界中で探し回るのが私の仕事です。
-
スマート工場基盤「KOM-MICS」、世界の設備をデジタルツインで分析
part3 つながる工場
コマツは、工場設備のIoT化を段階的に進めている。グローバルで工作機械やロボットをつなぎ、品質と生産能力・生産効率を高めるコマツ流のスマート工場、それが「KOM-MICS(Komatsu Manufacturing Innovation Cloud System)」である。
-
第1に顧客を意識して選ばれる存在になる、競合他社は第2
part4 ブランドマネジメント
「コマツが顧客にとってなくてはならない度合いを高め、パートナーとして選ばれ続ける存在になるための活動」(同社常務執行役員建機マーケティング本部長の水原潔氏)─。それを実現するのが、2007年から全社展開している「ブランドマネジメント(BM)活動」だ。
-
心構え・行動指針を明文化しグローバル展開、品質重視・顧客目線の価値観を共有
part5 コマツウェイ
市場から高い信頼を得、強い製品やサービス・ソリューションを生み出しているコマツ。その強さの秘密をひも解く上で欠かせないのが「コマツウェイ」だ。コマツウェイとは、経営層を含むコマツグループの全従業員が身に付けるべきとされる共通の価値観。同社はコマツウェイをこう位置付けている。「(コマツウェイは)当社…
-
「コマツウェイ」を海外拠点でもぶれずに説く
【インタビュー】佐藤真人氏:コマツ コマツウェイ総合研修センタ所長
「コマツウェイ」は、コマツにおけるものづくりの行動規範や考え方を記したものです。それを各拠点の幹部や管理職と共有し、従業員の方々に理解してもらおうと作られました。それは海外でも同様です。