PR
4/1朝まで
どなたでも有料記事が読み放題「無料開放デー」開催中!

 「ブーム」という言葉を越えて、新材料の活発な開発が続いている。1つの要因は新材料の「普及法則」が変化しつつあること。新しい材料が業界をまたいで実用化する展開のスピードが増し、試用から実用に至る時間が短くなっている(図1)。

図1 新材料の実用展開の変化
図1 新材料の実用展開の変化
従来の新材料は航空・宇宙のような特殊で高付加価値な製品分野から、コストの低下とともに自動車分野、建築・土木分野へと段階を踏んで実用化されるケースが多かった。これに対し、最近は新材料の実用化で先行される分野が特定されない上に、分野の壁がなくなりつつある。こうした普及シナリオの変化が新材料開発の活性化を促す一因となっている。
[画像のクリックで拡大表示]

 従来新しい材料は、宇宙・航空や嗜好性の高いスポーツ用品といった特殊で高付加価値の製品向けに実用化が始まるケースが多かった。材料コストの高さを吸収できる高額な製品価格を設定できるからだ。そうやって段階を踏みつつ量産規模を増し、コストを下げて、より幅広い用途で使われるようになっていく。例えば自動車業界では、まずは高付加価値を厳しく求められる高級車で採用し、需要が十分に拡大してコストが下がってきたら生産台数の多いコンパクトカーでも利用する。自動車で十分に使われた後に控えるのは、より大きな市場規模を持つ建築・土木という別の業界である。これが従来の新材料の実用展開の流れだった。

環境負荷軽減材料のニーズが急上昇の理由

 ところが昨今は、こうした普及法則が変化し、新材料の実用展開が業界の壁を越えて混然一体となりつつある(「挑戦者」参照)。新材料の実用展開でなぜこうした変化が起きているのか。それは、顧客ニーズを満たすための要件が厳しくなっているからだ。既存の材料では達成が難しく、新材料に頼らざるを得ない(インタビュー記事参照)。

 最近特に目立つのは、問題の解決のために新材料がもたらす「軽量化」が有用なケースだ。自動車であれば、車体を軽くして燃料消費量を減らせる。建築・土木の資材であれば、搬送や施工の負荷が軽減し、現場の作業効率が高まる。軽量化材料の採用で材料の使用量を減らせれば、全体の価格を抑えられる可能性もある。

 環境負荷を軽減する材料への期待も高まっている。その代表格が、植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)である。植物の主成分であるセルロースを使った繊維状の材料で、例えば、樹脂に混ぜて複合材料(CNF強化樹脂)として使う。強度に優れるだけではなく環境に優しい構造材が出来る。欧州企業では、2015年9月に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の考えが広まりつつある。持続可能性の不足を理由に取り引きを断られるなど、ビジネスに直結する可能性も出てきた。