ドイツのフラウンホーファー研究機構は72の研究所で構成される応用研究機関。 その最大の特徴は、企業や社会のニーズに即した応用指向の研究開発を行っていることだ。 日本からの注目も高く、オープンイノベーションを学ぶため、米国シリコンバレーと並び定期的に訪問する企業もあるほどだ。基礎研究と応用のイノベーションギャップを埋めるという同研究機構の実態に迫る。

独フラウンホーファーの研究力
目次
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図解!フラウンホーファー研究機構の全貌
23億ユーロの予算と2万5000人以上のスタッフを抱える巨大研究組織フラウンホーファー。ドイツ各地でエネルギーや通信・情報、生活・サービスまで多岐にわたる分野の研究を推進している。
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「産業ニーズ主導」で全てが動く、独フラウンホーファー研の基本ルール
Part1 総論
欧州最大の応用研究機関とされるドイツのフラウンホーファー研究機構。年間予算23億ユーロ、約2万5000人のスタッフを抱える巨大な組織だ。その最大の特徴は、産業界の具体的なニーズに応えられる研究力にある。民間企業からの委託研究、産業ニーズ主導の研究に力を入れる。
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人材交流のハブとなる独フラウンホーファー研、産学連携のギャップを埋める
Part2 産学連携
ドイツのアーヘン市で2018年5月初旬、レーザー技術に関する国際会議「AKL’18」が開催された。ドイツを中心に世界各国から661人の参加者が、最先端のレーザー技術とその市場動向に関する研究発表を目当てに集まった。この国際会議を主催したのがフラウンホーファーのレーザー技術研究所(ILT)だ。
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世界が頼る独フラウンホーファー研、唯一無二の技術が牽引
Part3 先端技術
フラウンホーファーに世界中から共同研究や委託研究の依頼が舞い込むのは、各研究所が最先端の技術力を有しているからだ。さまざまな研究機関を探して、フラウンホーファーにたどり着いたという声も聞く。以下、特徴的な技術のいくつかを紹介しよう。
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中小企業こそインダストリー4.0、独フラウンホーファー研の導入戦略
Part4 地域振興
フラウンホーファーのオプトエレクトロニクス・システム技術・画像処理研究所(IOSB)は複数個所に拠点がある。工業オートメーションを担当するのが、レムゴーに拠点を置くIOSB-INAだ。レムゴーはドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW)のデトモルト行政管区、通称「OWL(オストヴェス…
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学際領域もカバーする独フラウンホーファー研、経済や労働環境も研究テーマ
Part5 境界領域
フラウンホーファーの労働経済・組織研究所(IAO)は人間に関するテーマの研究に力を入れる研究所だ。シュトゥッツガルト大学の職業科学技術管理研究所(IAT)と協力関係にあり、「人と作業環境」「人と組織」「人とイノベーション」といった境界領域の研究テーマを取り扱う。