活況を呈する日本の工作機械業界。2017年に続いて2018年も過去最高の受注額を更新する見込みで、その勢いは当分続くとみられる。この好況を支えているものこそ、ドイツと並んで世界トップとされる日本メーカーの技術力だ。ただし、多品種少量生産の加速、製造現場の人材不足を背景に、競争軸は機械単体の性能や高信頼性だけではなくなりつつある。顧客の現場の生産性を高めるために何ができるか、各社の取り組みを追ってみた。

絶好調の工作機械、生産性を究極へ
目次
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空前の好況でさらに強くなる工作機械、競争軸は機械性能から総合サポートに
Part1 総論
工作機械市場が史上空前の好況に湧いている。日本工作機械工業会(日工会)がまとめた国内工作機械メーカーの受注額は、2017年は約1兆6500億円と過去最高を記録。2018年は1兆8000億円近くに達する見込みだ。
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知能化・自動化・IoT化で工程集約狙うオークマ、スマート工場構築の切り札に
Part2 各社の戦略:オークマ
「当社が目指すスマート工場の要件は、スマートマシン、ロボットによる自動化、IoTの高度活用の3つだ」とオークマ取締役副社長の家城淳氏は説明する。それを実践するのが、2017年6月に本格稼働を開始したオークマの新工場「Dream Site2」(愛知県・大口町。以下、DS2)。従来工場の2倍の生産性を…
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フルIoT自社工場でノウハウ蓄積するヤマザキ マザック、顧客にソリューションを提供
Part2 各社の戦略:ヤマザキ マザック
「受注状況は上り調子。2017年後半から生産能力面でフル稼働が続いている」。ヤマザキ マザック常務執行役員技術本部本部長の岡田聡氏は笑顔で話す。国内外とも需要は堅調で、特に半導体装置産業を中心に中国からの受注が好調という。
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ファイバーレーザーの強み生かすアマダ、板金工場を3本柱で支援
Part2 各社の戦略:アマダ
アマダホールディングスの2017年度の売上高は3006億円で、過去2回目となる3000億円超え。純利益は298億5600万円と過去最高を記録した。2018年度の売上高は、過去最高の3100億円を見込んでいる。「受注環境は非常にいい」(アマダ上席執行役員ブランク事業本部長 山口敦氏)。
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微細加工機で独走する碌々産業、手厚いサポートをクラウドで強化
Part2 各社の戦略:碌々産業
精密金型の加工などに使う数μmの加工精度を実現する微細加工機のニーズが高まっている。「微細加工は日本メーカーが強い。市場はまだまだ広がる」と強気に語るのは碌々産業(本社東京)代表取締役社長の海藤満氏。同社の主力製品は、加工精度5μm以下の微細加工機。切削加工だけで磨きレスで鏡面加工を実現でき、かつ…
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世界初スカイビング対応機で勝負かけるジェイテクト、ギアの製造を効率化、設計革新も
Part2 各社の戦略:ジェイテクト
「自動車1台当たりのギアは減っても、労働人口の減少でロボット向けなど減速機全体の需要は伸びる」─。世界に先駆けてスカイビング加工対応のマシニングセンター(MC)「スカイビングセンタ」を量産化したのがジェイテクト。同社常務取締役工作機械・メカトロ事業本部本部長の加藤伸仁氏は、工作機械事業、特にスカイ…