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「いろいろな加工に挑戦したい」

 「5軸加工機自体は古いのを前から持っていたが、ほとんど3軸機として使っていた」と佐藤氏は明かす。転機になったのは2012年頃に競合他社の複雑形状サンプルを見たこと。同時5軸で加工したそのサンプルを見て、「本当の5軸加工をやりたい」(佐藤氏)と刺激を受け、当時最新の5軸機*1を導入(図10)現在テクニカルセンターでは4台の5軸機が稼働する。

*1 その後、重切削対応品や小型品など用途の異なる5軸機を拡充した。

図10 同時5軸加工による加工サンプル
図10 同時5軸加工による加工サンプル
エンジンマニホールドの集合管をイメージして加工したジュラルミン製サンプル(a)。厚さは0.3mm。側面には直径0.2mmによる「SATO SEIKI」のすかしがある(b)。
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 とはいえ、同時5軸加工は加工件数全体の1割程度、加工時間で見ても全体の2割に過ぎない*2。このため今のところは3軸機的に利用する割り出し5軸加工が大半。それでも現場は、ワンチャックで段取り替えが不要になる5軸機の利便性を生かそうと、いかに工数を減らせるかという視点で、ワークのクランプ方法を工夫するなどしており、5軸機導入のメリットは十分出ていると佐藤氏は評価する。

*2 エンジンカバーなど同時5軸加工でないと造れない依頼もあるものの、同時5軸の精密加工ニーズ自体は地元にはそれほどないという。

 もう1つ、導入前には予期していなかった効果がある。作業者のモチベーションが高まったことだ。「もっといろいろな加工に挑戦したいという作業者が増えた」(佐藤氏)。工数を減らしたり、同時5軸加工でより複雑で難しい形状を加工に挑戦したりといった工夫やスキル向上に関心を持つ作業者が現場に増えたという。

 複雑な形状で高い加工精度を実現するには「周辺装置にも投資が必要」(佐藤氏)になる。具体的には、焼きばめ装置やツールプリセッター*3といった周辺設備の拡充に力を入れている図11。設備を活用して工具の高速回転時の芯振れを抑えているからこそ高精度な加工が可能となる。

*3 ツールプリセッター 工作機械外でツーリングに工具をセットしたり、工具刃径や突出し量を精密に測定したりする装置。ツールの外段取り化による工作機械の稼働時間の向上、加工精度の向上が見込める。

図11 周辺装置
図11 周辺装置
焼きばめ装置(a)と、ツールプリセッター(b)。加工精度を高めるべく工具の芯ずれを抑えるために導入した。
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 5軸加工機の導入で現場のモチベーションが高まり、周辺設備への投資で高精度の加工が可能になる。空調などを整えたテクニカルセンターも稼働して受注の幅も広がった。これらが新たな受注を呼び込む好循環になっている。