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 ものづくりのグローバル化が進んだ現在、日本メーカーの技術者の多くが海外メーカーの技術者と一緒に仕事をした経験があるはずです。その際、米国をはじめとした英語圏だけでなく、欧州など他の言語圏の国でも共通言語として英語で会話していたのではないでしょうか。未熟な英語力を全力で発揮して、会議やメール、現地での立ち合いなどをなんとかこなしていた人も少なくないと思います。

 近年は、中国やその他のアジアの国々の人たちと一緒に仕事をする機会が増えています。英語を使う場合もあるでしょうが、私の知る限りでは日本人技術者は日本語を使い、必要に応じて通訳してもらっているケースが多いはずです。現地メーカーが日本語のできる人を採用して、その人(日本語通訳)が全力の日本語力で私たち技術者の対応をしてくれています。

 このことは、仕事の成否につながる会話を主としたコミュニケーションの責任が、米国や欧州の国々で仕事をする場合と、中国やその他のアジアの国々で仕事をする場合では、異なることを示しています。同じ海外で仕事をするといっても、どのような言語を使うかで全く違う立場になると認識する必要があるのです。