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 中国の部品メーカーと仕事をする人の悩みの1つに、自分の依頼した内容が実際に作業する当事者まで伝わっているのかどうかを把握できないというものがあります。それが「確かに~と言ったハズなのに」という不満につながっているのです。私も中国駐在の初期の頃は、そのように感じていました。

 しかし、今になって改めて考えてみると、私の仕事の進め方にも問題があったと思っています。私は企業の窓口である日本語通訳にだけ情報を出し、後は結果を待つという仕事の仕方をしており、その日本語通訳の先で「誰が」、「何を」、「どのように」行っているかをほとんど見ようとしていませんでした。日本であればそのような仕事の仕方でもあまり問題は起こりません。しかし、中国ではなかなかそうはいかないのが実情なのです。

必要な情報が現場まで伝わらない

 私が中国の部品メーカーにある仕事を依頼した場合、その窓口である担当者(日本語通訳を兼務している場合が多い)は依頼内容を該当する部門のリーダーや実務担当者に伝えます。日本の部品メーカーであれば依頼された業務の進行中は、担当者間で次のような会話が交わされると思います。

窓口担当者:「頼まれた測定はもうすぐ終わりそう?」

実務担当者:「こんな感じのリストでまとめたけど、良いでしょうか?」

 しかし、中国の部品メーカーの担当者間では、このような会話が交わされることはあまり無いようです。業務範囲が明確に分かれていて、お互いに干渉しようとしないのです。実際、私は取引先の中国人から「中国人は仕事がはっきり分かれているけど、お互いに注意しましょうね」と言われた経験があります(図1)。

図1 日本と中国における業務範囲の関係
図1 日本と中国における業務範囲の関係
お互いにケアしながら仕事する日本人同士と、お互いに干渉しない中国人同士の業務範囲の関係は異なっている。(出所:ロジ、イラスト:闇雲)
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 私が中国の部品メーカーへ出張に行き、ある治具の問題点を幾つか指摘したときのことです。問題点の内容をリストにして日本語通訳に渡し、1カ月後に訪問するまでに修正しておいてほしいとお願いをしました。

 1カ月後、この部品メーカーを再訪問した私は開口一番、日本語通訳に次のように聞きました。「リストの内容は幾つ修正が終わりましたか?」。すると返ってきた答えは、「担当者にメールでリストを送ってあります。修正が終わっているかを私は知らないです」。

 結局、ほとんどの修正は終わっておらず、改めて修正を依頼することになりました。担当者にメールでリストを送るくらいなら、(リストの内容を中国語に翻訳する必要はありますが)日本にいる私でもできます。私はこのような課題を克服するため、今では必ず次の2つを実践しています。

  • 関係者全員での打ち合わせとメールの送信
  • 事前確認(写真やデータの取り寄せ)

 日本人は全ての情報を窓口担当者にさえ伝えれば、当然その企業の関係者にくまなく情報が伝わると考えて仕事を進めています。しかし中国の部品メーカーの場合はそうはいきません。よって私は、打ち合わせのときはその内容に関わるリーダーや実務担当者にも同席してもらい、メールを送るときはCCにこれらの人を入れるようにしています。そうして2つの人の集合を私たちがつないであげるのです。ただし、メールのCCにこれらの人を入れるときは、窓口担当者に事前に断っておいた方が良いと思います。