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 「重工業も変化しており、いろんな製品やサービスを展開するようになった。だが、世の中の変化はさらに早くなっている。もっと素早く変わらなくてはならないとの危機感があった」。川崎重工業でオープンイノベーション(OI)に取り組むマーケティング本部イノベーション部長の野田 真氏は、活動の背景をこう語る。

 イノベーション部は、OIを活性化しようと同氏が発起人となって2017年4月に発足させた。2018年夏には拠点を東京本社から、コワーキングスペース「WeWork」の東京・丸の内のオフィスに移転(図1)。さまざまなスタートアップ企業が入居するWeWorkで、活動を加速させる狙いがある。

図1 川崎重工のイノベーション部が入るWeWorkの丸の内オフィス
図1 川崎重工のイノベーション部が入るWeWorkの丸の内オフィス
共有ワークスペースは入居企業のメンバーが打ち合わせや作業に使っている。
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スタートアップ目線で話せる

 イノベーション部のメンバーは、WeWorkのオフィスで働く6人と、米シリコンバレー(SV)に居る1人の計7人。現在は、共創できそうなパートナーを探すべく、さまざまなスタートアップ企業と会って情報を集めているところだ。同部発足から1年半余りの2018年末までに、スタートアップ企業を中心におよそ900社との接触を重ねてきた。

 1カ月平均にすると40社ものスタートアップに会って話を聞いてきたのは、「高密度に接触して世の中や市場やトレンドを把握するため」(野田氏)。ピッチイベントに通ったり、スタートアップキャピタルに会いに行ったり、銀行やアクセラアレーター、スタートアップに詳しい米国の弁護士事務所などから紹介してもらったりして、多種多様なスタートアップに話を聞いた。「スタートアップを見極める目利き力を付けるには、数をこなすのが大事。無駄足もあるが、それも1つの知見・経験となる」(同氏)。

 では、なぜWeWorkなのか。それは、「川重自身がそういう(スタートアップの)世界に入っていく必要がある」(同氏)と考えたから。同部発足から1年ほどは、先方に東京本社に来てもらったり、野田氏らが先方に出かけて行ったりしていた。しかし、どちらにしても先方にとっては“立派な大企業の担当者とスタートアップ”という感覚から、かしこまってしまい距離が縮まらない。そこで川崎重工がスタートアップの世界へ身を置くことにしたのだ。

 当初は、東京本社にイノベーション部用のオープンスペースを設けるという方法も考えたが、コストも時間もかかる。調べてみたところ、ちょうどWeWorkが丸の内に開所したのを知り、居を移すことにした。「東京本社があるにもかかわらず、わざわざ借りているところに意味がある。スタートアップが集まっていてコミュニケーションも取りやすい」(同氏)。

 打ち合わせの際も、「WeWorkで」と言うと相手のノリが違うという。フランクな雰囲気の中で話がしやすいし、「我々自身がスタートアップと同じ目線でコミュニケーションできる」(同氏)。

事業部が行かないところに行く

 川重が入居しているWeWork丸の内北口のオフィスは、図1のように入り口を入ると開放的で自由な雰囲気の広い共有ワークスペースが広がる。ミーティング用の机や椅子、ソファーがあちこちに配置されている他、少し落ち着いて話をしたい場合は、壁際の間仕切りのあるソファー席を使う。簡易キッチンやカウンターなどもある。

 メンバーの執務スペースはその奥のプライベートオフィスエリアにある。ガラス張りの狭い6人部屋だが、それ故にメンバー間のコミュニケーションも取りやすい(図2)。

図2 川崎重工の専用オフィススペース
図2 川崎重工の専用オフィススペース
ガラス張りの部屋の中に6人のデスクがある。周囲には入居しているベンチャーなどの専用オフィスがあり、気軽に話がしやすいという。
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