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 工業材料として前回までは鉄鋼やアルミニウム、銅などの金属材料を説明してきました。これら金属材料の他にも、プラスチック(樹脂)やセラミックス、ゴム、ガラス、セメントといった非金属材料もよく使われています。今回はプラスチックとセラミックスを解説します。

 プラスチックは1950年代から産業の発展とともに大きく成長し、身近なものに多く使われ、この材料がない生活は考えられないほど広く普及している状況です。1年間の国内生産量は約1000万tと、鉄鋼材料の約1億tに比べると1割ほどに過ぎないように見えますが、プラスチックは軽いので体積換算すると鉄鋼材料に匹敵する量になります。

 金属とは対照的に、軽い(密度は鉄の約5分の1~8分の1)ものの強い材料とはいえません。電気は流れず、熱にも弱く、いまひとつ特徴が見えにくい材料といえるでしょう。にもかかわらず、これほどよく使われているのはなぜでしょうか。

複雑な形状への加工が容易

 プラスチックがよく使われる理由の1つは、その加工性の良さにあります。プラスチックの多くが持つ低い温度で溶融する性質は、溶かした材料を金型に流し込んで冷やして固める成形に向いています。あっという間に出来上がるので大量生産できるのです。成形の方法としては、一般的な形状には射出成形*1で、空洞の容器形状ならブロー成形*2で、容器のサイズが大きくなると回転成形*3で造ります。

*1 射出成形
熱で溶融したプラスチックに圧力をかけて、金型の空洞に流し込むことにより成形する方法。
*2 ブロー成形
金型の中で薄いプラスチックの袋を熱で軟らかくしておいて空気で膨らませ、金型の内側に押し付ける方法。
*3 回転成形
金型の中にプラスチックの粒状のペレットを入れ、金型を熱しながら回転させて溶かし、金型の内壁に付着させてプラスチックの層を形成する方法。

 もう1つ、プラスチックがよく使われる理由に、材料そのものに色付けが容易だという点があります。金属材料は柔軟に色を選ぶことができず、黄金色の銅などを選べるくらいです。そのため、金属材料に色を付ける際には塗装やめっきが必要になり、透明となると金属ではお手上げです。

 それに対してプラスチックは、材料を溶かす際に色の素を加えれば出来上がりです。自由自在に色を変えられる上に、透明なプラスチックも可能です。