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 前回(2020年5月号)は加工方法を大きく5つの大分類で紹介しました。今回からそれぞれの特徴をお伝えします。まずは削って形を造る切削加工です。これは切粉(切りくず)が出ることが特徴の加工方法です。

 切削加工の全体を見ておきましょう。切削加工は、さらに次の5つに分類されます。

  • [1]丸形状に削る「旋盤加工」
  • [2]角形状に削る「フライス加工」
  • [3]穴やねじを開ける「穴あけ加工」
  • [4]表面を砥石で削る「研削加工」
  • [5]完全な平面に仕上げる「きさげ加工」

 加工部品の形状は「丸形状(円柱形状)」「角形状」「球形状」、もしくはこれらの複合形状になります。このうち「球形状」は専門メーカーから購入するのが一般的なので、主に丸形状と角形状が加工の対象です。丸形状は旋盤で、角形状はフライス盤やマシニングセンタで加工します。

 旋盤やフライス盤での加工後、さらに表面を滑らかにしたい場合や高精度に仕上げたい場合には、研削加工を施します。きさげ加工はフレーム基板などの基準となる面を限りなく完全な平面に仕上げる高度な加工法で、機械ではなく手作業で行います。

工作物を回転させる旋盤

 今回は切削加工の最初のテーマとして旋盤加工について説明します。旋盤加工は、携帯用の鉛筆削りと同じ原理です。携帯用の鉛筆削りは刃が固定してあり、鉛筆を回転させて削ります。これと同じように、旋盤も工作物を回転させることで丸形状に削ります。歴史がとても古く、レオナルド・ダ・ビンチのスケッチにも残されています。

 機械加工の書籍を見るとその多くは、旋盤が最初に紹介されています。それはなぜでしょうか。歴史が長いことも理由の1つですが、もう1つの理由は、丸形状は加工効率がとても良いからです。「図面通りに」「早く」「安く」加工するには、加工そのものを減らすことが1番です。そこで外形の面数を比較してみると、角形状の6面に対し、丸形状の面数は外周と両端面を合わせて3面です(図1)。すなわち、丸形状は角形状に比べて半分の面数なので、加工効率は圧倒的に有利です。一方、前号で紹介したように、角形状は外形寸法を市販寸法に合わせることで加工面数を減らす工夫が有効です。

図1 加工面数
図1 加工面数
丸形状(円柱形状)は加工面数が少なく、同じものを複数個造るのに向く。旋盤は丸形状の加工に適する。(出所:西村仁)
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 また丸形状は、同じものを複数個造る場合にも有利です。旋盤で材料を長めに加工しておき、最後に右端面から所定の寸法に切り落としていけば、連続して同じものを造れます。金太郎あめをつくるのと同じ要領です。