削って形をつくる「切削加工」の種類として、前回(2020年8月号)まで「旋盤加工」「フライス加工」「穴あけ加工」を紹介してきました。今回は切削加工の最後のテーマとして「研削加工」をお伝えします。
研削加工の特徴
身近な研削加工は、砥石を使った包丁の研ぎや、小学校の図工で使った紙やすりによる削り加工です。この研削加工の大きな特徴は工具にあります。これまで紹介した旋盤加工の「バイト」やフライス加工の「エンドミル」、穴あけ加工の「ドリル」は切れ刃が1個もしくは数個ですが、研削加工では「砥粒」と呼ばれる無数の硬く微細な刃先で削ります。砥石も紙やすりも、研削加工の工具になります。
このような工具を使う研削加工では、以下のような加工が可能です。
- 1)非常になめらかな面に仕上げられる
- 2)高い寸法精度に仕上げられる
- 3)焼入れ焼戻しをした硬い材料や超硬合金でも加工できる
一方、削り代が少ないので加工時間を必要とし、これに比例して加工コストも上昇します。そのため、形をつくるときに最初から研削のみで加工するのは避けるのが普通です。旋盤加工やフライス加工、焼入れ焼戻しの後の「仕上げ」にこの研削加工を行います。
実は、研削加工という用語にはその対象となる範囲によって広義と狭義があります。具体的には、砥粒を固めた工具(砥石や紙やすり)を用いる研削加工(狭義)と、砥粒を固めずに使う研磨加工があり、これらを合わせて研削加工(広義)となります(図1)。以下では、研削加工(狭義)と研磨加工の順番で説明していきます。