今回は、加工の大分類の3つ目となる「接合加工」について紹介します。
接合、すなわち“くっつける”と聞いて身近に思い浮かべるのは、文房具のスティックのりではないでしょうか。これは接着という接合方法です。接合にはこの他にも溶接、ろう付け、リベット、はめあい(圧入)、ねじ締めなどさまざまな方法があり、それぞれ一長一短があります。今回は「溶接」「ろう付け」「接着」について詳しく見ていきましょう。
コストダウンを狙う溶接
溶接は、主に金属部品同士をくっつける際に適用する接合加工です。例えば、T字形状やL字形状の部品を鉄で造りたいとします。鉄の塊からフライス盤で削る(切削加工する)方法もありますが、2枚の板材を溶接して組み合わせる方法も考えられます。
外形寸法が大きい部品の場合、切削加工では削り代が大きくなりがちなため、加工時間が延びる上に材料のムダが生じます。一方、溶接では2枚の板を組み合わせるため、加工時間が短くて済む上に材料のムダも無く、コストダウンの効果も期待できるのです。
溶接は金属同士を熱で溶かして金属結合させるため、最も信頼性の高い接合加工の方法です。ただし溶接の熱によりひずみが生じるので、高い寸法精度が必要な場合には、溶接後に熱ひずみを切削加工で除去する必要があります。一般的には、部品の外形寸法が小さいときは切削加工、大きいときには接合加工の溶接が適します。