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 前回まで、第三角法*1で描いた図面と、そこから立体をイメージする手順を解説しました。ものの形は基本としては第三角法で表しますが、より読みやすくするための方法として補助図法があります。その補助図法の中でもよく使われる「断面図」を紹介します。

*1 第三角法
水平面と垂直面によって空間を4つに分けたときの「第3象限」を使う投影法。平面形状は上方の水平面へ、側面形状は右方の垂直面に投影する。第1象限を使う「第一角法」もあり、平面形状は下方へ、側面形状は左方へ投影する。

かくれ線の弱点と対策

 線の種類として、ものを見た時に直接見える線は「外形線」で表し、直接は見えない隠れた線は「かくれ線」を用いると本コラムの第26回で解説しました。外形線は太い実線で描き、かくれ線には破線を用います。

 この破線は一定間隔に隙間が空いた線なので、多用されると直感的に読みにくい図面になってしまいます。例えば、図1は直径の異なる穴が複数ある形状です。正面図において穴は全て破線で描かざるを得ませんが、ご覧のように分かりにくいと思います。実際の図面では、これに穴の深さの寸法指示が加わるので、さらに読みにくくなってしまいます。

図1 直径の異なる穴が複数開いている事例
図1 直径の異なる穴が複数開いている事例
中心の穴は途中で太くなったり細くなったりしており、他に周辺部にも穴がある。かくれ線の破線が多く分かりにくい。(出所:西村仁)
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 この読みにくさの原因は破線の多用にありますので、解決策は見やすい実線で描くことです。そこで内部の形状を一番よく表している面を切断すると仮定します。すると切断した面は直接見えるので実線で描くルールを適用できます。これが断面図になり、業種を問わずとてもよく使われます。