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 図面に数字や文字、記号で示される情報には、「寸法数値」「寸法補助記号」、狙い値に対して許されるバラツキを表す「公差」、「表面粗さ」「溶接やねじ記号」などがあります。これらの中から、今回はまず寸法数値と寸法補助記号について紹介します。

狙い値を表す寸法数値

 寸法数値は、図面に記入する寸法で長さや間隔、位置、角度などを具体的に指定する数値です。その中でも最もよく使われるのは長さの寸法数値です。

 長さの単位にはメートル法のメートル(m)、センチメートル(cm)、ミリメートル(mm)、マイクロメートル(μm)などがあり、この他にも日本固有の寸や尺や里、海外のインチ、フィート、マイルなども知られています。

 このように長さの単位には多くの種類がありますが、図面にはミリメートル(mm)を使用します。表記は数値のみが示され、単位のmmは省略しています*1。また日常生活では金額などの数値に3桁ごとのコンマ(,)を入れる場合がありますが、図面ではコンマの使用は禁止です。小数点(.)との読み間違いを防ぐためです。

*1 JIS(日本産業規格)Z8317には「寸法の単位は、長さではミリメートル、角度では度、分、秒又はラジアンである」と「寸法にはSIの単位を用いる」の表現がある。SI(国際単位系)は長さをm、質量をkg、時間を秒で表すMKS単位系を拡張し、国際度量衡総会で定められた単位系。

 寸法数値で示す長さの対象(どこからどこまでの長さか)は「寸法線」と「寸法補助線」と呼ばれる細線を使って示されます。ものの形を表す実線は太さ0.5mmが目安であるのに対して、細線の目安は0.3mmです。線の太さによって、ものの形と寸法情報を区別しています。

 寸法線の両端には矢印が付きます。この矢印には「内矢印」と「外矢印」があります(図1)。通常は内矢印を用いますが、寸法補助線の間隔が狭くなると矢印が入らなくなるので、その際には外側からはさみ込むように外矢印を用います。さらに内矢印も外矢印も描くスペースがない場合には「黒丸(●)」を用いる場合もあります(図2)。

図1 寸法線と寸法補助線
図1 寸法線と寸法補助線
物体の外形を表す実線と区別できるよう、細線で描く。(出所:西村 仁)
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図2 寸法線の矢印と黒丸の事例
図2 寸法線の矢印と黒丸の事例
通常は内矢印を使うが、記入スペースによって外矢印や黒丸を使い分ける。(出所:西村 仁)
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