改善の進め方と目標設定
改善を進める手順は、PDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルやQC(Quality Control)ストーリーが参考になります(図2)。
ただし「目標の設定」の時点では、原因も対策も決まっていないので、具体的な目標値を決めるのが難しいと思います。そこでまずは「30%の改善」が妥当かと思います。
例えば、キズ不良の30%削減といった目標値です。本連載の品質管理編第5回(2022年7月号の第40回)でも述べましたが、10%の改善になると、現状のバラツキ範囲に入ってしまうので、改善の目標値としては低いと感じます。一方、50%の改善では、取り組みの難易度が一気に上がってしまいます。そこで、30%前後を改善の目標として、半年程度を活動期間として取り組みます。
活動期間を半年としましたが、これが1年といった期間になると、結果がなかなか出てこないので、モチベーションの維持が難しくなると思います。
そこで、背伸びすれば届くくらいのレベルを目標として、数カ月や半年の活動期間で取り組み、これを何度も回していく方針にするのがお勧めです。
管理監督者の役割
改善活動も業務の一環なので、成果が求められます。その際の管理監督者の役割は何でしょうか。ここでいう管理監督者は、ものづくり現場で権限を持った職制を意味します。改善では、これまでと違った新たな試みを実施するので、その承認ができる方です。企業により課長の場合もあれば係長や班長のこともあると思います。この管理監督者の役割は、
- 1)改善取り組みのテーマと目標が会社方針に合っているかを判断する
- 2)メンバーの活動時間を確保する
- 3)進捗を管理する
になります。
チームメンバーだけで議論すると「部分最適」になってしまうリスクがあります。「全体最適」を狙うためには、工程全体を見ている管理監督者がテーマの妥当性を判断します。
加えて改善活動には、それ相応の時間が必要になります。特に活動メンバーが現場作業者の場合、活動時間内は生産が止まるので、改善活動を進めるのは簡単ではありません。そのため、改善活動に向けた時間の確保と、進捗の管理は管理監督者の仕事になります(図3)。