生産効率の向上を目的に、自動化やIoT化などのICT活用が進むスマート工場。その効果を短期間かつ低コストで最大化するためには、各社各様の事情に応じた取り組みが不可欠だ。特に、これまで作業者が担っていたどの工程をどのように置き換えていくのかが重要になる。また、残った人手による作業の効率化にもICT活用が有効だ。日本の最新工場にこれらの取り組みの最前線を見る。

生産効率の向上を目的に、自動化やIoT化などのICT活用が進むスマート工場。その効果を短期間かつ低コストで最大化するためには、各社各様の事情に応じた取り組みが不可欠だ。特に、これまで作業者が担っていたどの工程をどのように置き換えていくのかが重要になる。また、残った人手による作業の効率化にもICT活用が有効だ。日本の最新工場にこれらの取り組みの最前線を見る。
総論
「3分の1の作業者で生産スピード3倍」(安川電機の安川ソリューションファクトリ)、「生産能力を7割向上し、必要人員を半減」(ダイヘンの六甲事業所)といったように、工場のスマート化によって大幅な生産性の向上と省人化を同時に実現した工場が増えている。
事例:パナソニック 草津工場/神戸工場
パナソニックは、各カンパニーがそれぞれ独自にスマート化の取り組みを展開。画像認識による人の作業のチェックや、協働ロボットを活用した省人化、IoTによる工場データの一元管理などを進めている。
事例:安川電機 安川ソリューションファクトリ
2018年12月に本格稼働を開始した安川電機の新工場「安川ソリューションファクトリ」。IoT(Internet of Things)や人工知能(AI)、産業用ロボット、自動搬送車(AGV)などの最新技術を活用し、「見える化・データ活用」と「自動化・省力化」を徹底して生産効率の向上を追求した工場だ。
事例:TDK 鶴岡東工場/稲倉工場東サイト
「工程改善を積み重ね、最適化した最終形態として自動化した。高い品質のフェライトコア*1を製造する現時点での究極の姿」とTDK稲倉工場東サイト(秋田県にかほ市)工場長の須田和博氏が胸を張るのが、2017年4月に稼働した「DSS(Direct Sintering System)」と呼ぶ自動化ラインだ。
事例:UMC・Hエレクトロニクス 秦野拠点
UMC・Hエレクトロニクス(以後、UMC・H、本社神奈川県秦野市)は、サーバーやストレージ、通信ネットワーク機器といったIT関連機器の生産を得意とするEMS(電子機器受託製造サービス)企業である。
事例:ダイヘン 六甲事業所
「産業用ロボットを組み立てる工程の自動化率を約8割にまで拡大した。今後は自動化を主力機種以外にも水平展開したい。将来は検査など組み立て以外の自動化も進めたい」。
事例:OKI 本庄工場
半導体検査装置や携帯電話網用の通信装置といった大型電子機器のプリント配線基板は、大型化と高密度化が同時に進行している。機器への要求性能が年々高まるのに加えて、基板に搭載する部品は小型化が進む。
事例:アマダ 土岐事業所T876工場
生産ラインの直接作業者を従来の1/3にまで減らし、生産能力1.5倍・1人当たり生産高4倍を実現した工場がある。板金を打ち抜き加工するタレットパンチプレス(タレパン)用のパンチング金型を生産するアマダ土岐事業所の「T876工場」だ。